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テーマ:離婚・・・その1(30)
カテゴリ:離婚
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Q12.相手が回復の見込みのない強度の精神病にかかると離婚できますか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ A12. 一.回復の見込みのない強度の精神病 1.「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」は、訴訟で離婚を求める事ができます。 2.不治の精神病にかかり,意思を表示する事もできない病人に対して、他方配偶者からもう世話をしたくない、自由になりたいといっている以上、むりやり婚姻を継続させても病人のためにならないし、相手から離婚の同意を最早もらえない他方配偶者も可愛そうです。しかも、経済的問題は別に処理可能です。それならば、婚姻の破綻を離婚原因として認める以上,精神病離婚を認めるのは当然である、という考え方があります。 3.他方、婚姻の効果には協力義務があり、配偶者が強度の精神病にかかるというのは、他の疾病と同様、まさに協力義務が発生している場面なのだから、簡単には離婚を許すべきではない、という考えが方もあります。 二.判例 1.最判昭和33年7月25日(民集12-12-1823) 妻の精神病を理由とする夫からの離婚請求に対し、民法770条2項を使ってこれを排斥しました。 民法770条2項 「裁判所は、前項第1号乃至第4号の事由があるときでも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認める時は、離婚の請求を棄却する事ができる。」 要旨 「民法七七〇条は、あらたに「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込がないとき」を裁判上離婚請求の一事由としたけれども、同条二項は、右の事由があるときでも裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の請求を棄却することができる旨を規定しているのであつて、民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。」 2.最判昭和45年11月24日(民集24-12-1943〔百選12〕) 夫が、精神病の妻の療養費を誠実に支払っている等の事情を認定し、離婚の請求を許すべきではないとの離婚障害事由は不存在であるとして、離婚を、認めた原審を支持しました。 要旨 「妻が強度の精神病にかかり回復の見込みがない場合において、妻の実家が夫の支出をあてにしなければ療養費に事欠くような資産状態ではなく、他方、夫は、妻のため十分な療養費を支出できる程に生活に余裕がないにもかかわらず、過去の療養費については、妻の後見人である父との間で分割支払の示談をしてこれに従つて全部支払を完了し、将来の療養費についても可能な範囲の支払をなす意思のあることを裁判所の試みた和解において表明し、夫婦間の子をその出生当時から引き続き養育している等判示事情のあるときは、民法七七〇条二項により離婚の請求を棄却すべき場合にはあたらない」 次回は婚姻を継続しがたい重大な事由について ・・・つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.11.17 00:33:14
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