あいうえお道場/職業訓練編

爆乳相談員の席は、私の正面ではなくてナナメ向かいであった。ほっとするような、がっかりするような。彼女は決して熟女ではなく、よくみりゃ、まだ27～8歳だった。カーチャンボディをぱっと見て見間違えたのだ。声もアルトボイスで落ち着きがあり、左薬指には指輪があった。色白、茶髪、ぱっつん巨乳の姉さんは、グレーのアンサンブルでなるべく胸を目立たないように気をつけていた。初対面のあの記憶はなんだったのか。昨夜は110センチと書いたが96センチくらいがほんとのところだ。それでもナナメ後ろから見てもお乳がはみ出て脇のラインへと繋がっている。健康爆乳、謙虚な相談員で、察するに、老人ホームのケアワーカー→相談員→ケアマネージャーという理想的な経路をたどっているものと思われる。優秀な女性だ。

つうことで私の正面は、50代のおばさんで資格オタクらしく、福祉に関わるさまざまな資格を持っているらしかった。そういう人って、仕事は…。私の女上司とこの女性の仲が犬猿で、その間に入った私は、こうもりのようにあっちへついたりこっちへ振り向いたりしているのである。昨日の話では、おばさんにイジメられないようにと言われていたが、イジメ体質なのは私の上司のほうで、なんだか、事前の話とじっさいは違うぞ、と混乱してきた。とにかく双方ともケアマネジメントに対して各々で理想と自負を持っていた。私の様子観察や記録を読めば、双方とも「ちょっと、待った！」といいたくなるところがあり、入社2日目の私がでしゃばってはいけないが、ふたりともプロの職人とは仕事ぶりが異なっていた。ただいま成長中とひな鳥のように形容される、入社1年未満の2名の男性職員や爆乳のほうが、ずっと仕事がわかっており、末席を汚す私はこれからどのように振舞えばよいのか、また、意見すればよいのか、なんだか難しい。

これまでの私の経験からすると、「私こそ正しい」と主張する勘違い屋さんと最終的に決別するのだ。前職場では私が去ってしまったが、今度の会社では私はできれば定年までまっとうしたいものである。

事務の男でねちっこい者がいてヤな野郎だという印象を持ったヤツと爆乳が同じ苗字であった。そんなもんだろう、男と女って。

※2日目にして睡眠不足のボーっとしたアタマで契約書に理事長印をポンポンをし、途中から違う場所を押していた。製本するまで3時間もかかったのだから、とうぜん隠蔽するつもりである。大丈夫か、オレ。