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テーマ:福祉医療関係(1061)
カテゴリ:ソーシャルなワーク
利用者は84歳男、アルツハイマー。万年床で1日を過ごす。歩行は出来ぬが立位をとれるほど脚力があり、夜間、窓のサッシから外に出ようとする行為もあった。痴呆は重度で声かけに反応はほとんどなく、たまに応答が質問の答えとして一致する程度。『オーオー!』と奇声をはっすることが多く、たいていは食事を求めている。万年床には古い便の跡が多く、不潔。居室も、そして農家風一戸建て全体がほこりっぽい。高齢の妻が介護をし、嫁は介護放棄ぎみ。中三と中一の孫娘はふたりとも登校拒否で家にいる。息子は夜勤の仕事をしており嫁は現在無職だがかつて保険の外交の仕事をしていた。経済的に困窮し、ケアプランは週1回のデイサービスのみ。それが本日サービス開始。
とまあ、こんなケースを昨日引き継いだ。あれほど説明したデイサービスの用意は家族の誰もしておらず、デイの送迎時、外出に20分ほどかかった。入浴時、大転子(足の付け根)に皮向けがあり(辱創になりかけ)、デイのナースが仕方なくワセリンとガーゼにて処置をした。デイ相談員のあかねチャンの仕事ぶりが丁寧でオレサマ好みということもあって、夕方、利用者宅をアポなし攻撃。おぎーののケースとして抜本的にケアマネジメントを切り込むことにする。 さて、皆さん。このケースの問題の所在はどこにあると思いますか? まず、嫁が介護放棄ぎみ。おむつ交換など介護のほとんどを高齢の妻が行っている。そしてこれまで福祉のサービス利用をしてこなかった。今回も(前任のケアマネができたのは)週一回のデイサービスがやっと。お金がないと嫁はいう。なぜか。 なぜ、こんなショボいプランになったのかを知るべく、訪問したのだが、やっぱり臭った、借金の匂いが。爺さんは2ヶ月3万円、婆さんは2ヶ月4万円とこれだけの年金収入。息子は夜勤の仕事をしているというが…。昨日、嫁に私のボールペンを手渡したとき、嫁はこう、言った。「このボールペン、高そうね。ホラ、1本2千円もするボールペンがあるっていうじゃない。」確か7千円ほどのウォーターマンのボールペンを握りつつこう言った嫁の金銭感覚や、一般常識の欠如を刑事コロンボのごとく私は見逃さなかった。嫁は、そして息子はスロットとパチンコに依存していたのである。おそらくサラ金に多額の借金があるのだろう。嫁は現実逃避のパチンコの日々。そんな両親の元で育った、女のコ2人はクラス全員のいじめにあって不登校の日々。私はどうにか老夫婦の経済を自立させて爺さんを施設入所へ持っていかねばならぬのである。ここまでたどりつくのに30分。やっぱりオレサマは仕事が早いなあ。 情報源は婆と中三の孫。不登校の孫は私の声かけにすぐに反応し、なんとなくなつき、「考える」という字を書くのに悪戦苦闘しながら、私の指示に対してメモをとっていた。 “オレって少なくとも一般的な中学校の教員より優秀じゃね?” TUTAYAと古本屋に行くことくらいしか日課のない、ゆるい発達障害のケのあるこのコにおむつ給付のためのおむつの購入を役割分担させた。婆さんを除く一家全員が、爺さんの『オーオー!』という奇声に殺意すら感じ、どうしようもない絶望を抱いている。そいつを突破する第一段階が15歳の孫娘の社会的参加なのだ。ここまで45分。ケアマネージャーのおじちゃんが爺さんの施設入所を検討していることを嫁に伝言するように孫に伝えて退出。爺を救うにはその子供のスロット中毒を矯正するところから始めなければならぬのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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