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不登校・ひきこもり・ニートを考える

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巨椋修(おぐらおさむ)

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2005年12月08日
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カテゴリ:周辺事態

福岡県で、自分の娘を生まれてからほとんど外出させず、義務教育も受けさせていなかった母親(40)が逮捕されました。


博多警察署によると、少女は10月28日午後、勝手にテレビを見たとして母親に背中や腰を殴られ家を出たといいます。

11月1日、福岡市博多区の公園近くの路上で、はだしでいたところを通行人が見つけ110番。同署に保護されたそうな。

少女は、この寒空の中3日間を“はだし”で、食べるものもなく、水だけで過ごしていたといいます。


母親に言わせれば、少女は幼児の頃に障害があり


「外出させるのが恥ずかしかった。周囲への迷惑が気になった」


とのこと。

そして、教育委員会や児童相談所は少女の小学校就学時期以前から月に1回程度の割合で家庭訪問するなどしていたといいます。


つまり十数年間、100回前後も訪問するなどしていて、まったく見過ごしていたというものです。


そして警察の判断は、


「養育放棄の疑いもあるとみて捜査したが、食事や学習のためのドリルも与えていたことなどから、傷害容疑のみで立件、母親は福岡簡裁で罰金10万円の略式命令」


であるということです。

この罰金は、子どもを部屋に軟禁していたというものではなく、少女が家出のきっかけになった母親の暴力に対する罰金とうかがえます。

つまり、親による虐待ではなかったという判断ですね。



さて、この事件はこのブログとして、多いに考えたいところであります。




この事件は、『不登校・ひきこもり』の事件であり

多くの問題が、『不登校・ひきこもり』の諸問題とリンクするのですよ。




不登校の子どもさんを持つ親御さんの中には、学校に不信感を持っている人も多い。

先生が、家庭訪問をしても、子どもが先生に会いたくないという場合も多い。

教育は我が家でやるという親御さんも多い。

不登校の我が子を「世間体が悪い」と思っている親御さんも多い。

虐待をしてしまったという人もいる。





不登校関係者の論によると


「教育の義務と権利は、“子どもが教育を受ける権利があるのであって、“学校や親が、無理やり学校に連れて行こうとする”のは間違っている」


というもの。


しかし、今回の事件では、ほとんどすべての、マスコミ、ジャーナリスト、教育評論家はというと


「学校や児童相談所は、何をしていたんだ!」


と、憤慨し、さらに児童相談所が


「虐待などの情報を得て緊急性が高いと判断した場合について「児童福祉法上、立ち入り調査権を与えられている。しかし警察の捜査と違い、玄関の鍵を開けてもらえない状態では難しい」


と、いうと


「これに対し、元最高検検事で白鴎大学法科大学院教授の土本武司氏(70)は、無理に室内に入れば不法侵入になるとの行政側の懸念について「自己弁護に過ぎない」とバッサリ。「保護に値しながら学校へ来ない人は本人に直接会って確かめる必要がある。(立ち入り検査は)適法な職務執行で不可欠だ」と指摘した」


と、手厳しく批判をしており、おそらく圧倒的国民は、学校サイドや児童相談所の怠慢に怒り心頭といったところでしょう。



しかししかし、多くの不登校・ひきこもり関係者・支援者にとって、児童相談所が強引に踏み込んでくるというのは、本来、


「人権違反である!」


「プライバシーの侵害である!」



と言ったりもします。


だからこそ、長田塾のように強引に不登校・ひきこもりの部屋に踏み込み、連行することに、猛反対したということもあります。


その一方、親による子どもへの暴力・虐待。

子どもから親への暴力が、隠されている場合もあります。


また、さらに一歩、踏み込んで、児童相談所が家庭訪問にきたときに、この少女が面接に応じていたとしたらどうでしょう?


「わたし学校に行きたくないんです」


と、言っていたとしたら、あるいは親から“言わされて”いたら


この事件は、部屋に軟禁していたひどい母親の事件ではなく、ひきこもり少女の、単なる親子喧嘩、家出事件で終わっていたのかも知れません。


家庭・家族というのは、他人が踏み込めない一種の聖域でもあります。


うまくいっている場合は、一家団欒、くつろげる生活空間であり、生活の基盤となる場所です。


しかし、ひとたび何らかのトラブルが起こったりした場合、逃げ場のない恐怖の密室にもなりえます。





この事件もね。長田塾裁判のときと同じように


またよく事情もわかっていないのですから、一概に、そして感情的になって判断しない方がいい。


ただ……



ひとつ気になるのが、母親が言ったという言葉


「外出させるのが恥ずかしかった。周囲への迷惑が気になった」


ということですね。

恥の文化は、日本文化の美点でもありますが、不登校・ひきこもりの場合、まったく逆に作用して、人を苦しめる文化になることが多いんです。

世間体を気にするあまり、もっと大切なものを失ってしまうことがあまりにも多くなる場合だってあるということですね。


また、この一家には、母親のみではなく、父親もおり、成人した兄、姉もいたとのことです。

つまりは、家族も少女がこのような状態であることを認めていたのでしょう。


また、この母親自身が、ほとんどひきこもり状態であったといいます。

不登校やひきこもりが、一種の家族病・家族不全の結果である場合もありますが、この事件は、そうであるのかも知れません。


この事件に関して、ある教育評論家は


「彼女が反抗して、家出をしてよかった」


と語っています。
これも、

家出=言うことを聞かない子・子どもを管理できない親

という一面的なレッテルではなく、そうしないと生きていけない少年少女がいるという表れかも知れません。


以前、似たような事件で、もっと悲惨な事件が大阪であり、そのときは中学生の少年でしたが、親に監禁され食事のろくに与えられず、死ぬ寸前までいったということがありました。


おそらく……


似たような境遇にある少年少女は、まだまだ相当数いると推測できます。


『不登校・ひきこもり・ニート』という問題の一面に、このような悲惨な事件もあるということを、わたし達は認識しておく必要があり

また一面だけを見て、レッテルを貼るのではなく、多面的に見る必要があるんだと思います。


(参照;デイリースポーツ、サンケイスポーツ)








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Last updated  2005年12月08日 10時42分11秒
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