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カテゴリ:BLコミックス・小説
和泉さんの清澗寺シリーズ、第4弾ですね。
明治後期から大正時代にかけてのお話でして、時代情緒たっぷりな雰囲気をベースに、 美麗な一族が、周りを翻弄したりされたりしつつ、愛情に満ち満ちた人生を手に入れていくというストーリであります。 これまでの主役は3兄弟 『この罪深き夜に』の、長男 国貴(社会主義に関ってしまった元使用人と駆け落ち) 『夜ごと蜜はしたたりて』の、次男 和貴(利用するつもりで側に置いた有能な男に夜ごと苛められっぱなし) 『せつなさは夜の媚薬』の、三男 道貴(清澗寺父親を仇と恨む一族のイタリア貴族とハーレクイン的な大恋愛) でありました。 この4冊目では、そんな彼等の父親、 とうとうシリーズ最強(凶?)キャラである、冬貴の登場です。 と、言っても、お話は、彼の愛人である伏見の視点で書かれていまして、 そのおかげで、冬貴が一層、不思議でワケ分かンない・・けどメチャクチャ魅力的でカワイイ生き物に描かれているように思われます。私はシリーズで一番のめりこみました。 本誌に掲載された時にも、結構、力んでレビューを書きましたが、(*関連日記その1 その2 その3 今、読み返してみると、結局、伏見と冬貴のすれ違いをよく把握してなかったよーに思います。 でも、大人になった今なら(??)分かる!・・分かったよ・・な?・・分かるかもシンない ・・・・と自分に言い聞かせて、前回日記の補充をしたいと思います。 ■少年の日に、雪の庭で会った冬貴のことを忘れられずにいた伏見は 回りの貴族のボンクラ息子達が、冬貴に『夜這い』する賭けをしていると 自分から率先して負けたりしています。 口では『将来、清澗寺家を利用する為に』とか何とか言いながら。これはもう カンペキ惚れちゃってるワケですよねv ところが、おどろおどろしい清澗寺家の因習だか、 淫蕩な血だかしりませんが 冬貴もお爺様の清澗寺貴久もよくわからない性格なもんで ますます混乱して、『俺は自分で自分のことがよく分からネ~~~@@@!!』状態になっていくわけです。 『ミラージュ』直江の悩み(主人を愛し、欲しているけれど、かつ、男として彼を凌ぎたいというジレンマ)のほうが、まーだ私達には分かり易いかもしれません。 財界の大物に冬貴を水揚げして、清澗寺家に力を貸してもらうことになっていると知れば、(顔面蒼白になってせっぱつまって)勝手に拉致し、思いをとげてしまっている伏見・・・(だから、惚れてるんだって認めれば良いのに)←いやー、感動的な美しいシーンではあるのよ。エロいし。 しかーし、そんな冬貴が、実はメチャクチャ淫蕩な血の持ち主で 何時でも誰でもウェルカムなのを知り、今度は会いにも行かず 打ちひしがれてみたり (こうやって今は冷静に書いていますが、読んだ時は同情して一緒に泣いた) 自分の兄が、冬貴と『唯一、体の関係のない信頼関係』を持っていると知れば 罠にはめて兄をも遠ざけたり・・・ (この辺りからは、さすがに、愛していることを自分で認めているらしい・・) 冬貴の為ならなんでもする伏見。 黒いです!真っ黒クロスケなんですよ。 もー、冬貴を自分のものにしたくてたまらなくって その為なら何でもしちゃうところが、黒いけど『純愛』っぽくて何とも言えません。 真っ黒に染まりつつも、自分の欲しいものが手に入らず 何度も打ちのめされる伏見 彼は冬貴の唯一是非の人になりたかったわけです 『冬貴を守る』為に、結婚させて子供を作らせたり(清澗寺家の血筋を残す為に自分を愛している女も利用する)、 自分は官僚をやめたものの、黒幕として暗躍したりして力を維持し がんばってはいるのですが そんなこんなで冬貴から離れていると、冬貴は冬貴で どんどん男や女を引っ張り込んでいるので、脱力してしまう伏見義康・・・ (人呼んで 義×冬スパイラル) 冬貴が他の男に組み敷かれているところを目の当たりにしては落ち込み かと言って冬貴が誘えば『所詮、俺も体だけを欲しがられているのか』と 更に打ちのめされる伏見は 『体は他に与えても、心で結ばれている関係』というものを信じられていないんですね。 結局お前の方が冬貴の美貌とカラダに溺れているんじゃないか・・と、今では言えますが、伏見視点で読んでいるとなかなか理解できなくてもどかしいのですよ。 (いや、その前に、冬貴が浮気しなければいいだろ・・という考えもあります。 でもでも冬貴が、それを指摘をする気も起こらないくらい凄いキャラ・・・全てを読者と伏見にあきらめさせてしまうくらい最強なのですよ) 結局、冬貴の方から歩み寄って、伏見の目を覚まさせるわけですが (自分をを遠ざけようとする伏見に、最初は密やかに、後にはとっても健気に訴えかける姿に、今度は冬貴にもらい泣き・・・) キミタチ!寝てばっかりいないで、もうちょっと話せよ・・・と、言う感じです。 と、今回のレビューは批判的もしくはおチャラけているかもしれません。 が、ここまでマジになって読み、一緒に泣き、語っている時点で 『オ、オレも結局あの美しい化け物(と黒い純愛ぐるぐるオジサマ)にハマっているのかっ!!!!』 と、思うべきなんでしょう。 冬貴のようなキャラを創造した和泉さんを尊敬します・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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