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桐まみれの日々 by さきさん

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2012年06月16日
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カテゴリ:ニュース
 こんな記事がありました。

 医療が進歩して、昔なら、間違いなく失われたであろう命が、救われる、あるいは知ることのなかった事前の情報を得ることが多くなった今日、だからこそ、発生するさまざまな軋轢があると思います。

 授かった命がこの世に生まれ出る前に、何か障害を持って生まれてくると云う情報は、何の役に立つのだろうかと思います。研究の結果、辿り着いた一つのゴールなのでしょうが、そして、研究には何がしかの元手が掛かっているのも事実で、その元手を検査と云う形でお金にして賄っていかねばならないのも事実でしょうが、知って、一体、どうするのでしょうか。

 授かった命に何がしかの障害があるとして、だったら、育ち始めたその命の芽を摘み取りましょうとでも言うのでしょうか?そんな権利なんて、誰も持ち合わせてはいないのです。命と云うものは、決して誰かの持ち物ではなく、預かり物に過ぎなくて、それを意図的に長くしたり短くしたりは、人の道に反しているのです。

 桐箱をご注文下さる方がありました。陶芸をなさって、自分の作品を入れるための桐箱をご注文くださるのです。しばらく、お顔を拝見しないなぁ・・・、と思っていた矢先の昨日、奥様がおいでました。ご主人、お元気ですか?と尋ねると、去年の6月、亡くなったそうです。癌を発症されて数ヶ月で他界されたそうです。

 30回の予定でコバルト照射治療を受けられたそうですが、15回目で、あまりのつらさと体力の減退により、継続を断念。地元に戻ってホスピスで過ごし、最期の15日間は自宅で送られたそうです。享年71歳。今日ではまだまだお若かったと言わざるを得ない年齢ですが、奥様は、ご主人の選択を支持されました。

 スパッとした性格で、「お前を誰か分からないほどに衰弱してまで、意識が遠くなってまで、俺は生きていたいとは思わない。」と言われ、先ほどの通りに過ごされたのです。

 人間、生きていれば病気もするし怪我もする。予防と云うことが余計とは決して言いませんが、もし、予防が及ばなかった時、過度の医療投資はいかがなものだろうと、私は思うのです。だから、私も、もしものことがあれば、あるがままに過ごし、痛ければ痛いように、苦しければ苦しいように、仏様が与えて下さるだけの命を、粛々と生きることが出来ればと思っています。もちろん、これから生まれ来る命に対しても、余計な干渉は避けて、あるがまま、そのままに命を過ごさせてあげたいと思います。





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最終更新日  2012年06月16日 16時00分23秒
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