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お母さんの呟き

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2005/08/12
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水商売。

この言葉を聞いて、どんな印象を受けられますか??


私は、大学四年の春休み、一ヶ月ほど京都祇園にある日本料理店でアルバイトをしたことがあります。

そのお店は、祇園の花見小路に面しており、
予約しておけば舞妓さんを呼んでもらって食事ができるというところでした。


広島の大学に通う私が、どうしてそんな店で働くことができたのか?

それは、とあるガイドブックに紹介されたそのお店の記事をみて、
私がお店の住所、女将さん宛に、手紙を書いたのがきっかけでした。


小学生の頃から、舞妓さんに憧れていた私。

高校受験の時、「高校に落ちたら、舞妓さんになりたい」と父に言ってみたこともあります。

大学生活もあと一年を残すのみになった私の中に、
将来への不安、これまで選択してきた道への後悔のような気持ちが溢れ、
普段できないことをやってみようと、
無謀で失礼なことは承知のうえ、手紙をかいてみたのでした。

そして、幸運なことに、女将さんからお返事をいただき、
春休みの間、接客のお仕事をさせていただけることになったのです。


初出勤だというその日の早朝。

私は夜行バスで京都に降り立ちました。

昼の営業前に店に来るよう言われていたので、まだずいぶん時間があります。

私は、歩いて祇園に向かい、
まだ誰も歩いていない花見小路を散策し、
お店の場所を確認しました。

道をはさんだ向かい側には、あの「一力」が門を構えていました。


それから、滞在する宿に向かいます。

一泊1200円(多分、それくらいでした)の、古い一戸建てを改装した、
烏丸通の近くにある宿です。

トイレ、お風呂はもちろん共同。

個室もありますが、私が選んだのは女性4人が雑魚寝する和室です。

リビングがロビーのようになっており、
外国人のバックパッカーだらけです。


和室に大きな荷物を置き、早めにお店へ向かいました。


お店の外観は、花見小路の情緒溢れる古い建物そのままです。

ですが、一歩足を踏み入れると、モダンな空間が広がっています。

食事をするのも、お座敷ではなく、テーブルです。

店の一番奥には、舞台が設けられていました。


優しい女将さん、板さん、従業員さんに挨拶し、仕事着に着替えます。

もちろん、着物です。

型のついた帯ですから、簡単なのですが、
何しろ初めて着付けのようなことをするものですから、
30分はかかってしまいました。

お店の営業時間になり、ぎこちない動きで、女将さんの指示をいただき、
接客します。

本当に、緊張して心臓バクバクでしたが、
一品一品、器、料理、そして添えられた花々の美しさに感動していました。



お店の皆さんに助けていただきながら、数日経ったある日のこと。

女将さんが、
「○ちゃん!今日、舞妓ちゃん、来るよ!!」
弾んだ声で仰いました。

お客様のご希望で、舞妓さんが呼ばれたのです。


お店が貸切になり、お客様が来店されます。

話の内容から、どうやら外交官の皆さんの、送別会のようなものだとわかりました。


そこへ、「おおきに~~♪」と、一人の舞妓さんがやってきました。

舞妓さんの名前は、市侑(いちゆう)さん。


もう、その瞬間から、お店の雰囲気がガラッッと変わります。

桜の花が満開になったような・・・そんな感じです。


明るい声で、本当にかわいらしい京言葉を話します。

お客様を誉めながら、時には、ブラックなジョークを連発し、
もう、お客様皆、市侑さんの虜。

本当に楽しそうな笑い声が響きます。


かつて夢見た世界が、そこに広がっている・・・。

そう思うと、私はなんだか緊張し、
言葉で言い表せないくらいに心の中がグチャグチャになり、
ひたすら料理やお酒を運んでいました。


お客様の食事もひと段落し、市侑さんが舞を披露することになりました。


私は裏に引っ込みます。


すると、女将さんが手招きして、

「○ちゃん、仕事はお休み!

 いいから、こっち来て、市侑ちゃんの舞、一緒に観よ!!」

そう言ってくださいました。


女将さんと並んで、舞台を観ます。


市侑さんが、腕をスッと伸ばします。


その瞬間、空気もなにもかもが無くなったような静寂。

別世界が広がっていました。


それまで、時に子どもっぽく、元気に明るくお酌や話をしていた人とはまるで違う、
プロの舞手が舞台に立っているのです。


確か、「祇園小唄」という踊りだったと思います。(違っているかもしれません。申し訳ないです。)




舞が終わり、拍手喝采。


市侑さんは、お茶目な舞妓さんに戻っています。




私は・・・。


仕事中にも関わらず、涙が溢れてとまりませんでした。


女将さんは、何も言わずハンカチを差し出してくださいます。

裏で料理をしていた板さんが、泣いている私を見物しに来ました。




確か、私が中学生くらいの頃、母が購読していた雑誌にこんなことが書いてありました。


水商売。

これは、酒などの水物を扱うために、そう言われるのではない。

やって来る人々の心を癒す空間。

心をいやす、プロフェッショナルこそが、

創り出すことのできる空間。

水のように、とらえようのない空間を商売とするからこそ、

水商売と名がついたのだ。




私がかつて夢見た世界は、

まさしく、

水商売でした。


この経験は、

一生、忘れることのできない、

私の宝物です。


 














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Last updated  2012/04/14 03:43:21 AM
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