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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イギリス映画
(あらすじ)1914年、第一次大戦中のアラブ。砂漠の利権を狙い侵攻するトルコ軍とアラブ人たちとの激突、大英帝国の介入と、激動するアラブ社会に突如現れた英国人T・E・ロレンス。砂漠とその民を深く愛し、しかし英国人であるがために深い挫折に追い込まれていく青年リーダー ロレンスの苦悩を描いた、砂漠の一大戦争スペクタクル。 1962年に製作されてから、一部カットされたりプリントが裏焼きになったりしていたという本作。欠落部分を探しだして、最終的に216分に復元したのがこちら。 スコセッシ、スピルバーグ等の働きかけにより88年に「完全版」として上映されました。 デヴィッド・リーン自らが当初の編集の間違いを正して、全編にわたって細かい復元がなされています。画質の劣化も蘇った映画史に残る傑作。 長い作品でなかなか観ることができなかったので、鑑賞後はちょっと感激してしまいました。 思っていた以上に楽しくて、映画史に残る傑作をやっと観られて嬉しいです。 今はもう撮ることはできないであろう砂漠での壮大なシーンの数々に圧倒。そしてなんだか感慨深くもあり、D・リーン監督の偉大さを改めて感じました。 「首長アリを演じたオーマ・シャリフ」 「初めて民族衣装に袖を通し悦にひたるロレンス(ピーター・オトゥール)」 アラブを愛した男の栄光と挫折の生涯。 彼の非凡さは画面を通して見事に伝わります。野心家であり自信家であるロレンス。 殺戮を楽しみ始める件、血を浴びて正気を失った目、普通に戻りたいと哀願する様・・・変わり続ける彼の姿には捉えようのない何かが宿っているよう。 ロレンスの躍進の陰でずっと彼を支え続けたハリス族首長アリ(シャリフ)が溢した言葉は全てを物語っている。 「敬愛しながら、恐れていた」 飾らない姿は好かれても、何をしでかすか分からない怖さを持った人こそ、T・E・ロレンスだったのでしょう。 ホウエイタット族の首長アウダ(アンソニー・クイン)と手を組み、トルコ軍の重要地点アカバを襲うシーンは、噂どおりの迫力でスケールも圧巻です。砂漠の上では何者も敵わないアラブの民の力を見せ付けられました。 ロレンスが何故彼らに憧れたのかわかるほど、勇ましい男たちの勇姿。広い広い砂漠に映えて、厳しい自然に負けずに生きている人々の強さと誇りまで感じるよう。 第一次大戦ころのトルコ、アラブ、そしてイギリスの関係は、観る前まで殆んど何も知らない状態でした。 勉強してから鑑賞すればもっと良かったかもしれません。 ガリポリの戦いの裏で、陸の砂漠側ではこんなことが繰り広げられていたとは。 結局ロレンスのやったことは、イギリスの国益にばかり利があったのかと思うとすこしやりきれなくて寂しい気もしますが、その後も孤独ではなかったようだし、軍人として生きたようです。 46歳にバイク事故で亡くなるまで。 観終えた後残るのは、やっぱり砂漠の情景。 あの辛く過酷な砂漠での出来事は、観るものまで灼熱の下に置かれたみたいな錯覚をおぼえる名シーンではないでしょうか。 CGもなにも使わずに作られたこと、考えれば考えるほどそのすごさに驚かされました。 名優が勢揃いしたキャスティングと演技も魅力。 個人的にはオーマ・シャリフが良かったです。「ドクトル・ジバゴ」とはまた違った善良な砂漠の首長を演じる姿が素敵でした。 アカデミーでは賞を逃していますが、ゴールデングローブで助演男優を獲得しています。 監督 デヴィッド・リーン 製作 サム・スピーゲル 原作 T・E・ロレンス 脚本 ロバート・ボルト 撮影 フレデリック・A・ヤング ニコラス・ローグ 編集 アン・V・コーツ 音楽 モーリス・ジャール 出演 ピーター・オトゥール アレック・ギネス オマー・シャリフ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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