|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イタリア映画
些細なことから殺人を犯し30年の懲役刑を受けた男。キレ者かつ冷酷な彼は、周囲から“教授”と呼ばれるようになる。そして姉を使って、刑務所内から外の犯罪者たちを巧みに操りつつ、イタリア中の犯罪組織を掌中に収めてゆくのだった… 「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」で有名なイタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の長編デビュー作。 劇場未公開のこちらは、イタリアで起こった実際の事件や犯罪に脚色を加えて描いた、3時間弱に及ぶ大作です。 警察とマフィアの関係、組織による潰しあい、麻薬...。 暴力的で残忍な描写は、あのトルナトーレ監督作とは思えないくらい。 この数年後に「ニュー・シネマ・パラダイス」が出来上がるわけですが、やっぱり美しいものを描くには醜いものも知っていなければならないという定説は本当なんだと実感します。 トルナトーレに限らず、ノスタルジックやファンタジックな作品を世に送り出している監督さんたちも(例えば岩井俊二、エミール・クストリッツァ、ジャン=ピエール・ジュネ)グロかったり暴力的だったりする作品を撮ってるんですよね~ 大好きな監督さんたちなのですが、観る私自身も、どちらの面も知りたい衝動があることに気付きます。 淡々とした暴力シーンの連続は暗く重苦しく、長く感じられました。 刑務所のなかで組織を操り‘教授’と呼ばれる主人公。 その非情さは充分に伝わりますが、鑑賞後に残るものはほとんどありません。 脚色はあっても事実に基ずいている物語。ドキュメントでないにしても派手さは少ないので、マフィア映画としてはかなり地味なのではないでしょうか。 音楽は鋭くて寒々として、なかなか良かったと思います。 若き日に衝動で人を殺してから、マフィアのボスにのし上がった切れ者の男`教授'... ただ、犯罪者としての始まり日は、そこにあるわけではありません。 幼い頃農場で暮らしていた主人公一家は、地主から受けていた非情な取立てをマフィアに助けられていたのです。 見返りとして殺しの手伝いをすることになる幼い日の主人公… 両親は見て見ぬふりで、このときから彼の心に闇が芽生えたのはいうまでもありません。 そういった人物の裏側をみせる回想シーンは、唯一トルナトーレ監督らしさを感じたシーンかもしれません。 躍進を陰で支え続けた姉の陽の当たらない、幸福とはいえない人生も、女優さんの名演と合わせて見所であると思います。 トルナトーレ監督の軌跡を知りたい方、イタリアの暗部に興味のある方は是非。 私はビデオでしたが、そのパッケージも、DVDのパッケージも作品の印象と違いました。 DVDの写真は実際にないシーンだし、ビデオも「拷問、リンチ、ホモ・セックスなどの過激な描写が見どころ」なんて解説に書いてありますが、違う気がするな~・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジュゼッペ・トルナトーレ 脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 、マッシモ・デ・リタ 原作 ジョー・マラッツォ 撮影 ブラスコ・ジュラート 音楽 ニコラ・ピオヴァーニ 出演 ベン・ギャザラ 、ラウラ・デル・ソル 、ニコラ・ディ・ピント フランコ・インテルレンギ 、ルタ・グロッタ 、レオ・グロッタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[イタリア映画] カテゴリの最新記事
|