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カテゴリ:アメリカ映画
男同士の深い友情を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作。出所したばかりのマックスは、南カリフォルニアの道路で、同じくヒッチハイクをしていたライオンと知り合う。ライオンは5年ぶりに帰ってきた船員で、自分の居ない間に生まれた子供に会うため、妻のもとに向かう途中だという。意気投合した二人は、共に行動することにしたが……。 アメリカン・ニューシネマの退廃した雰囲気と切なさが秀逸なロード・ムービー。 若き日のふたりの名優が織り成す人間模様に、釘付けになりました。 出所したばかりの疑り深く喧嘩っ早い男 マックスをジーン・ハックマンが、人を笑わせるのが得意なおどけた優男 ライオンをアル・パチーノが演じます。 「何もない道で ふたりは出合った」 他人を信用したことのないマックスが、初めて持った相棒。 ふたりで都会へ出て洗車場を経営するという大きな夢を抱え、カリフォルニアからアメリカを横断する長い旅がはじまるのです。 お金もなく、こらえ性のないマックスのおかげで、どこへ行っても喧嘩ばかり。 けれどお互いにどんどん相手が好きになっていく――そんな男同士の友情は清々しくもあり、最後はぎゅっと胸を締め付けられる切ない余韻もあって素晴らしい。 家族を捨て5年間も放浪していたライオンは、出逢った時からずっと片手にリボンの掛かった白い箱を抱えています。 それは5歳になった性別も分からない我が子へのプレゼント。 後半、彼は家族の居る町に着き、勇気を振り絞って電話を掛けるのです。 しかし帰ってきた妻の言葉は、考えもしないショッキングなもの。 突然のライオンの電話は妻の怒りを再燃させて、思いがけない嘘をつかせるのです。彼を大きく傷つけるために… 人を笑わせるおどけた優しいライオンでも、家族を捨てた罪は大きくて、未来の夢がしばし離れていくシーン。 悲しいけど乗り越えなくてはいけない、罪に対するライオンへの罰なのです。 念願の夢が叶うのはずっと先になるのでしょう。 けれど、まずは有り金全部をつぎ込んでライオンのためにピッツバーグ行きの切符を買ったマックス。 彼の口からでた「往復」という言葉が希望を繋いでくれる。 様々な目にあっても辛くても、同時にこの旅でふたりが得たものがありました。 それは無二の友であり、生涯変わらない友情という素晴らしいものなのです。 観ながら、この数年前に製作された「真夜中のカーボーイ」を思い出しました。 ニューシネマの独特な雰囲気と、若き名男優の共演、そして旅。似ています。 私的な好みでいえば「真夜中のカーボーイ」の方がより洗練された感じで好きですが、どちらも今は失われつつあるアメリカ映画の良さがあるように思います。 タイトルとなったスケアクロウは「かかし」の意味ですね。 滑稽なふたり、頭カラッポのふたり。そんなニュアンスなのかな~ 寒がりという設定のジーン・ハックマンが、破れて汚れた種々様々なシャツを幾重にも重ね着している姿、いい味出してます。 歳をとってからの作品しかほとんど知らず「フレンチコネクション」で魅力を再発見。 本作の彼でもっと好きになりました。 役者さんの歴史というか履歴を知ることが、さらに今の作品を楽しむことにも繋がっているようで、それってとても大事なことなのかもしれませんね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作 ロバート・M・シャーマン 監督 ジェリー・シャッツバーグ 脚本 ゲーリー・マイケル・ホワイト 音楽 フレッド・マイロー 出演 ジーン・ハックマン アル・パチーノ アン・ウェッジワース リチャード・リンチ アイリーン・ブレナン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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