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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
アメリカによるイラク侵攻を背景に、北部のクルディスタンで過酷な状況の中、たくましく生きる子どもたちの姿を描く。
戦争孤児で便利屋の少年サテライトは、ある日、目の見えない赤ちゃんを連れた難民の少女アグリンに出会い一目惚れする。 少女には両腕のない兄ヘンゴウがいた。やがてヘンゴウには不思議な予知能力があることを知るのだったが…。 戦争の陰で犠牲になる子どもたちの暮らしを、自分はどれだけ知っていただろう。戦争孤児の生活は、過酷の一言に尽きる。 除去した地雷を売って稼ぎ、集団を作ってわが身を守る、彼らの日常はそこにしかない。 リーダー格のサテライトは大人からも頼りにされるしっかり者。いつも沢山の子どもたちを従えて、忙しく立ち働いていた。 ある日、出会った難民の少女アグリンに、こまめに世話を焼くようになるのだが、彼女が心に深い傷を負い、生きる気力をなくしていることは知る由もない。 アグリンは兄ヘンゴウと目の見えない赤ん坊との三人暮らし。戦争で両親を失ったこの兄妹には、さらに大きな悲しい過去があり、忌々しい記憶がまだ幼いアグリンを苦しめていた。 過去が明らかになるにつれ、やりきれなさは大きく膨らんでいくばかり。。イラクの現実を知ってショックだ。 頼りになる兄貴分のサテライトさえ、戦争を前にしては非力な存在であることを、ラストで叩きつけられてしまう。。過酷でイタくて辛い。そのツラサに負けてしまった、まだ幼いアグリンの諦めたような落ち着いた瞳を、いつまでも忘れられそうにない。 ヘンゴウの不思議な力を描く幻想的なシーンは、重い作品に時々息をつくかせてくれる。神秘的な濃い霧、池の金魚、青い空、深い谷底。 そして切り立った崖の深い谷底は、未来ある幼い少女の体を飲み込んで・・・沈黙する。 製作・監督・脚本 バフマン・ゴバディ 撮影 シャーリヤル・アサディ 音楽 ホセイン・アリザデー 出演 ソラン・エブラヒム ヒラシュ・ファシル・ラーマン アワズ・ラティフ 他 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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