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カテゴリ:映画
スターリン主義の影響下にあった50年代初頭のユーゴスラビア。薄汚い密告が見境なくはびこり、人々は疑心暗鬼だ。少年マリックの俗物の父親も、ふと愛人に洩らした他愛ない国政批判のせいで収容所に収監されてしまう。母は“パパは出張中”とマリックに告げ、ごまかすのだったがー
エミール・クストリッツァ初監督作。本編と『アンダーグラウンド』で、カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞している。特有のとび抜けた陽気さはまだ少ない地味な作品ながら、監督自身がミュージシャンであることもあって、音楽との絶妙な共存はこの時からすでに始まっていた。 パルムドールとはいえ、面白くはない。物語の陽抑がすくなく2時間強を長く感じる。何より良かったのはテーマ曲のワルツで、驚くほど作品に似合って気持ちを盛り上げてくれる。陽気に切なく響く曲の名はが、ルーマニアのイバノビッチによる「ドナウ河のさざ波」なのだそうだ。 俗物である父の行動が家族を巻き込み、困難な時代に辛い日々を送るはめになるけれど、子煩悩である父の姿はなんとも憎めないもの。次男マリック少年も、大人たちの行動を見ながら、恋をしたりサッカーに夢中になったりして、次第に成長していくほのぼのさがいい。家族の悲喜交々を描きながらも、何処かのんきさが漂い、体制への批判を込めたブラックユーモアがクストリッツア監督らしさだとおもう。 私的には「ドナウ河のさざ波」あってこそ、であった。 ‘哀愁をおびたロマンチックな旋律’がそのまま感想になってしまうほど心に残る。 監督 エミール・クストリッツァ Emir Kusturica 脚本 アブドゥラフ・シドラン 撮影 ヴィルコ・フィラチ 音楽 ゾラン・シミャノヴィッチ 出演 モレノ・デバルトリ ミキ・マノイロヴィッチ ミリャナ・カラノビッチ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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