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2006.06.06
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カテゴリ:フランス映画


  パン屋の娘婿ロジェ(アズナブール)と新聞記者ジャン(リビエール)は、ドイツ軍の捕虜となり、ライン河の軍用仮橋の上で出会う。ジャンは村娘を利用し脱走、レジスタンスに加わる。ロジェは敵国への敵愾心もなく、村長代理になり娘を愛する…。対立を超えるヒューマンな協調への道を探るカヤット監督作。




  性格も生き方も違うふたりの男が、それぞれに選んだ道に待ち受けるドラマ、そして友情。見応えのある作品でした。

優しくて情に篤いロジェと、新聞記者で世あたり上手なジャン。
二人は共にドイツ軍の捕虜として、小さな村で労働させられることになりますが、性格の違うふたりが選んだ未来はまったく別のものとなっていきます。

脱走することで頭がいっぱいの元新聞記者ジャンは、村長の娘を密かに誘惑し脱走に利用することを企てるのです。
村長の元で親身になって働き、村の人々とも仲良くなった元パン屋のロジェは、娘に惹かれながらも、ジャンの計画を壊すことが出来ず、かといって一緒に逃げることもできません。


ひとりはドイツからまんまと去り、残された一人は戦況の傾いたドイツで村長の代わりに家族と村を支えていく――
同じフランス人でありながら、捕虜である状況をどう乗り切るか、その術のまったく違うふたりからは人生の面白さと皮肉をいっぱいに感じました。

人情味のあるロジェは、敵国にいながらも皆に愛され、そして生き甲斐さえ感じていきます。
一方、祖国に戻って新聞社を取り仕切るほどとなったやり手のジャンは、レジスタンスに加わり、彼らしい方法でパリの解放を叫び続けるのです。
戦争に対する態度の違いはそのまま生き方の違いとなって表れる、なんとなく男のロマンのようなものを感じました。

ラインの仮橋2
「ロジェと村長の娘」


ふたりを取り巻く女性たちも素晴らしいです。
ジャンを愛した女記者フロランス(ニコール・クールセル)との付かず離れずの恋は、彼の野心の陰で傷ついたり燃え上がったり。
悲しい幕切れとなるのは、その人生にみ合った結末と言わざるをえないのが物悲しいですね...
そして優しいロジェの娘に対する思いは、祖国に残してきた妻に対するそれよりもずっと大きくなり、やがて成就をむかえるのです。
こちらも人生にみ合った結末です。


人ってどんなふうにも生きられる。
ジャンとロジェ、幸せになれたのはどちらかといえばロジェだったわけですが、どちらが正しいというわけではありません。
人生に正解はない。
ふたりが再会し、言葉を交わす時、似つかない人生を選んだはずなのに、そこに脈々と流れている友情にはっとさせられました。
こういう関係は、男性同士の間でしか生まれにくいものと思えて、羨ましくなりました。

モノクロの古い作品でしたが、とても楽しめました。
映画大全集」で拝借したあらすじの「ヒューマンな協調」という言葉そのまま、素晴らしい作品でした。


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監督  アンドレ・カイヤット Andre Cayatte
製作  ラルフ・バウム
原案  アンドレ・カイヤット 
脚本  アンドレ・カイヤット 、アーマンド・ジャモット
     パスカル・ジャルダン 、モーリス・オーベルジュ
撮影  ロベール・クラベル
音楽  ピエール・ルイギ Pierre Louiguy
出演  シャルル・アズナヴール Charles Aznavour
     ジョルジュ・リヴィエール George Riviere
     ニコール・クールセル Nicole Courcel







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Last updated  2007.08.29 22:43:32
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