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カテゴリ:イタリア映画
19世紀末、北部イタリア・ベルガモ近郊の貧しい農村を舞台に、封建的社会の犠牲者である農民たちの生活を、ドキュメンタリータッチで淡々と描き出したエルマンノ・オルミの傑作。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ カンヌ映画祭最高賞 パルムドールを受賞した、3時間に及ぶ長編。 すべてベルガモ地方でロケを行い、演じているのは素人の農民たち。 人口照明は一切使わず、自然光のみで撮影された映像のリアリティーは、ドキュメンタリーかと思えるほどでした。 まず浮かんだ感想は、ミレーの絵に似てる~ということでした。 それもそのはず、ミレーはこの時代に生きた画家なんでした。 農民の姿がそのまま絵画と重なるなんて、そうとうなリアリティーだと感じていただけると思います。 土地の全ては地主のものであった頃、そこで働く小作人たちは、貧しくても懸命にその日その日を生きています。 淡々としたドラマは、3時間を長く感じさせるかもしれませんが、こういった類の感動は他の作品からはなかなか得られないものだと感じます。 必要な時に必要な分だけ、家畜を殺して食べること。 畑に種を蒔き、成長に合わせた農作業を暇なく続けること。 大地の実りに感謝して、神を敬うこと。 大地に根付いた彼らの生活は、相当に過酷です。 けれど本来あるべき豊かさは現在よりも遥かに上なのかもしれない。 そう知るとき、なんともいえない感動が溢れてくるようです。 タイトルの木靴についてが展開されるのは、意外にも後半部からでした。 沢山ある厳しい生活のエピソードの中の一つとして。 小作人一家から、たったひとり学校へ通い始めた少年は、片道6キロの距離を小さな体で毎日歩きます。 ある日、くたびれて割れてしまった木靴を見た父親は、地主の木を切り倒し、こっそり新しいものをこしらえるのですが.... そうするしか解決方のない貧しさの中、地主に知られた時の冷酷な仕打ちは、またあまりにも厳しいものでした。 辛く、悲しく、救いがない。 それでも、古いイタリア映画にある悲壮感は独特の魅力があって、こちらも例外ではありませんでした。 鑑賞中もその後も、暗い気持が漂います。 どんよりとした重苦しさに飲み込まれそうだけど、力強い生命力も同時に感じました。 きっと、これから何度観ても、同じように深く感じ入ることができそうな作品で、大好きになりました。 時間を掛けてゆっくりと、ゆとりのある時に観るのがおすすめです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 エルマンノ・オルミ 製作 アッティリオ・トリチェッリ 脚本 エルマンノ・オルミ 撮影 エルマンノ・オルミ 音楽 ヨハン・セバスチャン・バッハ 出演 ルイジ・オルナーギ 、フランチェスカ・モリッジ 、オマール・ブリニョッリ ルチア・ペツォーリ 、フランコ・ピレンガ 、ロレンツォ・ペドローニ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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