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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フランス映画
フランソワ・トリュフォー初の長編。パリの下町に住むアントワーヌは、学校で先生に目をつけられている13歳。共稼ぎの両親は夫婦仲が悪く喧嘩ばかりしている。ある日、遊び金に困った彼は父の会社のタイプライターを盗み、ついに両親は手に負えない彼を少年鑑別所に入れてしまうのだった。 『あこがれ』に次いで、トリュフォー監督がメガホンを取った初の長編。人気が高く期待していましたが、想像以上にしっくりと楽しむことができました。 両親から煙たがられる少年の反抗心、活き活きとした親友と過ごす時間、そしてふとした時に憂う瞳の純粋さ。幸福とは言いがたいのに、彼が持っている可能性とパワーはキラキラとして見える。親の愛はないけれど、何かを掴みかけている。 いつかそれを手に入れることができるはずだと、信じて止まない何かに惹かれます。 演じた少年の演技がすばらしい!はじめてリバー・フェニックスを観た時を思い出していました。風貌が似ているせいもあるし、意志の強そうな目も似ている。男の子っていいなーと憧れていたころを思い出します。 家出して、ひとりで生きていく覚悟ではいても、いざ警察の移送車に乗せられ鑑別所へ連れて行かれる段になると零れる涙...彼の気持も持っている優しさも、大人は判ってくれません。 たしかにどこをどうとっても不良ですが、両親の愛があればきっとこんなことにはならなかったという切なさがあります。 親友と学校をサボって過ごした一日や、行く当てがなく内緒で部屋に泊めてもらった夜の出来事、盗んだタイプライターを担いで街をさ迷ったこと。その数々のやりとりの瑞々しさは秀逸です。 親友が鑑別所を訪れても身内以外は会わせてもらえず、話しさえ出来なくなってしまうふたりが余計に切なかった。 思い切って施設を抜け出し初めて観た海は、諦めと希望の色が見え隠れ。 それでも雄大な海を前にして「やろうと思えばなんでもできる」そういう強い可能性が映し出されたように見えたラストでした。 どこをとっても絵になるシーンの美しさが、やるせないドラマをさらに情感たっぷりにしています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 製作・監督 フランソワ・トリュフォー 脚本 フランソワ・トリュフォー 、マルセル・ムーシー 撮影 アンリ・ドカエ 音楽 ジャン・コンスタンタン 出演 ジャン=ピエール・レオ 、クレール・モーリエ アルベール・レミー 、ジャン=クロード・ブリアリ ギイ・ドゥコンブル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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