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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フランス映画
警官を殺してパリに逃げて来た自動車泥棒のミシェルは、アメリカ人の恋人パトリシアとお互い自由で束縛のない関係を楽しんでいた。警察の手が及びはじめたある日、パトリシアはミシェルの愛を確かめる為、彼の居場所を警察に密告するのだが……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ‘50年代後半~‘60年代半ばのフランス映画で、若い作家たちが生み出した斬新な作品群を‘新しい波=ヌーヴェル・ヴァーグ’というそうです。 その先駆けとなり、ヌーヴェル・ヴァーグの親とも称されるゴダールの、長編処女作。 追跡してきた警官を殺した車泥棒のミシェルは、追われる身になりながらものうのうと暮らしているチンピラ。 旅先で知り合ったアメリカ人の恋人パトリシアと、付かず離れずの恋をしながら、退廃した日々を送ります。 葉巻を吹かし、新聞で捜査状況をチェックして、盗みと騙しを繰り返し続ける悪い男。 彼のノリが軽ければ軽いほど、真実味がなく絵空事のような雰囲気。 恋人パトリシアも、ほかの恋を楽しんだり、なにか本気ではない態度ばかり。 犯罪ものではありますが、恋愛模様によりインパクトを感じました。 もどかしいこの関係。犯罪者と知ってか知らずか、ミシェルの愛に応えたり応えなかったり…本当のところをお互いにひとつも知らないまま、一緒にいる。 そんなあやふやさが面白い。 「ゴダール作品お馴染みのジャン=ポール・ベルモンド」 ジャン=ポール・ベルモンドは、この6年後「気狂いピエロ」でもゴダール作品に出演して、見事に破滅していく男を演じていましたね。 同じゴダール作品なら、少ない鑑賞作の中ですが、「女は女である」のキュートなベルモンドや「いぬ」のクールな役が好きでした。 本作で魅力的に見えなかったのはなぜでしょう。 これだけの名作なのに。 女に翻弄され続けて無駄死してしまった彼は..どうも格好良くみえなかったのでした。 反面、恋人パトリシアを演じたジーン・セバーグの魅力は溢れんばかり。 ベリーショートに刈った髪と、ちょっとキツめの目元がとってもチャーミングです。 言い寄られてもスッと交わし、思わせぶりな態度で完全にミシェルをトリコにしていきます。 男にとってあの終わり方は本望なのかどうなのか...彼が最後に呟く言葉には、恨めしそうでありながら、恋して完敗した諦めさえも聴こえてきたようでした。 青春と犯罪が入り混じった、恋愛映画といってもいいのかもしれません。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督・脚本 ジャン=リュック・ゴダール 原案 フランソワ・トリュフォー 製作 ジョルジュ・ドゥ・ボールガール 撮影 ラウール・クタール 音楽 マルシャル・ソラル 出演 ジャン=ポール・ベルモンド 、ジーン・セバーグ ダニエル・ブーランジェ 、ジャン=ピエール・メルヴィル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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