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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
ライオネル・ホワイトの原作『見事な結末“Clean Break”』を、S・キューブリックがタイトにフィルムに転化させた犯罪アクションの逸品。ジョニー(スターリング・ヘイドン)は出所したばかりにも関わらず、競馬場の売上金強奪を企み仲間を集める。周到な準備の末、いよいよ決行の時が来るが、計画が成功したかに思えた瞬間、思わぬ展開がジョニーたちを待っていた……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督キューブリックは大好きで、10代の頃「時計じかけのオレンジ」に出会った時から、今まで色々な作品を手にとってきました。 一番のお気に入りは「博士の異常な愛情」。 その次は...「2001年宇宙の旅」「ロリータ」「時計じかけのオレンジ」「バリー・リンドン」から選べない! それほどどれも好きです。 まだ未見なのは‘60年以前の初期の作品 「突撃」「現金に体を張れ」「非情の罠」の3作品でした。 レンタル店に見当たらず、ずっと探していましたが、先日(といっても結構前)BSで「現金に~」が放映されると知って大喜びで録画しておいたものを昨夜観ました。 残りの2作品もオンラインレンタルにあるようで、やっと全作品鑑賞できるとわかって嬉しいです。 原題は「THE KILLING」。それが今の邦題になったのは、2年前に作られたフィルムノワールの傑作「現金に手を出すな」を意識してのことかもしれません。 強奪の計画から実行に至るまでを、時間軸を交差させた展開で描く意欲作。 幾人もの男たちが、それぞれの夢と期待を込めてひとつの強奪に関与していきます。 主犯格のジョニー(スターリング・ヘイドン)はムショ帰り。 内密に着実に計画を練って、メンバーにそれぞれの役目を言い渡し、犯行当日を迎えるのですが―― 「主犯格ジョニー。変装をしていざ実行の時」 途中で気付いてしまったオチはともかく、最近は珍しくはなくなった時間軸の交差が、モノクロ・キューブリック作品で観られるとは思いもよらず感激でした。 現代のものと比べればわかり難さもあるけれど、手法としては素晴らしいのではないでしょうか。 そもそもフィルム上で初めて時間の交差を使ったのはどの作品なのか、知りたくなります。 馬券売場で働く弱々しい男ジョージ(エリシャ・クック)も、強奪に加わったメンバーのひとり。 惚れ抜いている妻シェリー(マリー・ウィンザー)のため、なんとか大金を手にしたい彼でしたが、なんとシェリーは不倫相手にこの強奪計画をばらしてしまいます。 だれがどう動くのか? 計画通り売上金は奪えるのか? 結末はいかに――? 多角的な視点から、ナレーターつきで描かれていく計画の行く末。 わたしは流石キューブリック! と単純に絶賛してしまいました。 よめたけれども見事な結末。 「地下室のメロディ」「パーフェクト・ワールド」に並んでお札が絵になる作品でした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 スタンリー・キューブリック 製作 ジェームズ・B・ハリス 原作 ライオネル・ホワイト 『見事な結末』 脚本 スタンリー・キューブリック 音楽 ジェラルド・フリード 出演 スターリング・ヘイドン 、マリー・ウィンザー コリーン・グレイ 、ヴィンセント・エドワーズ ジェイ・C・フリッペン 、テッド・デ・コルシア ティモシー・ケリー 、エリシャ・クック・Jr お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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