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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フランス映画
誰もが海へと繰り出すヴァカンス時、汽車もバスもすし詰め状態でお客を運びます。我らがユロ氏も、小さなボロ車で海辺を目指します。 リゾート・ホテルでの宿泊客の生活を、軽いスケッチをつみ重ねていくモノクロコメディ。 お馴染みのユロ氏が初登場した作品。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ほのぼのとした笑いとパントマイム、そして台詞の少ないサイレントみたいな趣。 ジャック・タチ作品独特のおっとりとしたコメディです。 ‘ユロ氏’初登場の作品で、全部で4作品に登場する人気のキャラになりました。 以前に紹介したことのある「ぼくの伯父さん」はこちらの続編。 ユロ氏ひとりで休暇を過ごしにやってくる設定で、伯父さんが大好きな甥っ子はでてきません。 製作はこちらが6年も前ですが、日本で先に上映されたのは「ぼくの伯父さん」の方。 それゆえ、このタイトルなのだそうです。 ただ居るだけで、なぜか周囲の人に迷惑をかけるユロ氏。 冒頭、今にも止まりそうな彼のポンコツ車は、悲しくなるくらいゆっくりとバカンスへ向かって走ります。 全てのものに噛み合わない彼のギャグは自虐的。 スローテンポでゆるゆるで、でも味わいがある。 どうやって撮ったの? というシーンもあってこだわりが多いです。 歩き方や仕草が多少浮いてるように見えたのは、より洗練された続編の「ぼくの伯父さん」を先に観てしまったからなのかもしれませんね。 無声に近いほのぼのしたこの雰囲気はジャック・タチにしか作れません。 バカンスムード漂う音楽が、何度も繰り返し流れると、自然に気が抜けていくよう。 洒落たセットも、目立ちすぎないユロ氏の存在も、私としては「ぼくの伯父さん」の方が好きでしたが、それも、モノクロとカラーの差や、6年という歳月の進化あってのことかもしれません。 スウェーデンのロッタちゃんシリーズも同じだったのを思い出します。 日本で始めに紹介された「ロッタちゃん はじめてのおつかい」はかなりツボで楽しめましたが、そのあとで、1作目の「赤いじてんしゃ」のほうを観たら少し残念。。 有名なのはそれだけの理由があって、洗練された次作のほうがシリーズ中では面白いということも多いのかもしれませんね。 今度はロッタちゃんシリーズと同じ原作者の作品で「やかまし村」のシリーズも2作品観比べてみようと思います。 内容が逸れましたが... そういえば、「ぼくの伯父さん」で気に入っていた音楽は本作では流れませんでした。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 監督 ジャック・タチ 脚本 ジャック・タチ 、アンリ・マルケ 撮影 ジャン・ムーセル 、ジャック・メルカントン 出演 ジャック・タチ 、ナタリー・パスコー アンドレ・デュボワ 、ヴァランティーヌ・カマクス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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