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行きかふ人も又

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2006.11.12
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カテゴリ:アメリカ映画


  激動のビルマを舞台に、ひとりのアメリカ人女性の生への闘いをダイナミックな筆致で綴った実話の力作。1988年、姉に連れられてビルマ(現ミャンマー)にやって来たローラ。強盗に夫と子供を殺された彼女の心は暗く閉じているが、現地のガイド、アウン・コーとの出会いがローラに変化をもたらしていく。しかし検問でローラをかばったアウン・コーが逮捕されそうになり、彼女は命がけで救出し軍からの逃れ、ふたり国境を目指す過酷な逃亡が始まるのだった……。


 
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  アウンサンスーチーという女性の名をよくニュースで聞いていたのは、この頃だったのかもしれません。
ミャンマーの民主化を求めて、銃口に素手で立ち向かった勇気ある女性。
軟禁されたり開放されたりを繰り返していることは、報道番組などでその都度聞いていましたが、現在でも自宅軟禁状態であり、ミャンマーの軍事独裁政権が続いていることはよく知らないままでした。

数千人に及ぶ学生や市民が虐殺された80年代激動のミャンマーで、ツアー旅行に参加していたアメリカ人女性ローラが体験した実話の映画化です。
社会派のアクションドラマで、脚色も多いとは思いますが、当時のミャンマー(ビルマ)を知るにはかなり大きな役割を果たすのではないかと思います。
それゆえ、劇場未公開だったことも、DVD化されていないことも残念です。


強盗に夫と幼い息子を殺され、心に癒えない深い傷を負っている女医のローラ。
僧侶たちの姿、軍事政権に立ち向かう民衆の力強さ、そして何よりも国民の中心となり軍力に屈せず闘う勇敢なアウンサンスーチーとの偶然の出会いが、次第にローラを変えはじめます。
国の情勢が日に日に悪化するミャンマー。
出国前日、雑踏でパスポートを紛失したローラはひとり、不穏な状況下で足止めを食うことになります。
再発行されるまでの数日。その数日が、恐ろしい悪夢へと化すのでした。


ラングーンを越えてラングーンを越えて
観光中のローラと逃亡中のローラ パトリシア・アークエットが熱演しています


雇ったもぐりの観光ガイド、アウン・コーは、じつは元大学教授であり、民主化運動で投獄された過去があります。
彼を通して知り合った学生らとともに、タイまで逃げ延びるまでの決死の逃亡劇。
容赦なく銃口が向けられる逃げ場のない恐怖が恐ろしかった…
デモを起こしても軍力にはかなわず殺されていく市民たちには、救いがありません。
異国の地にもかかわらず、今なにが正しくて何が間違っているのか、自分の生き方まで瞬時に見つめなおした彼女の強さには目を見張りました。
亡き家族の元へ逝きたいと望んでいたローラが、今は正義を信じて他民族と共に闘っている――その姿は、人種を越えているし、並々ならぬ強い勇気ある行動であることが、観る者の心を動かします。


主演のパトリシア・アークエットは演技派の好きな女優さんです。
「トゥルー・ロマンス」の娼婦役が有名ですね。
聖痕がテーマのホラー「スティグマータ」はB級でありながら彼女の印象がとても残る作品でした。
こちらでも、異国の地で、いつ殺されるかわからない恐怖を、全身で演じているので注目です。

ラングーンを越えて


喪失感から、生きようとする気持が持てなくなっていた女性が、困難な中でも精一杯前向きに生き抜いているミャンマーの人々に出会って変わっていく――
リアルで、尺も短く、ローラとアウン・コーの間に友情が芽生えるあたりは展開が早すぎるように感じましたが、全体通して充実した内容となっています。
隠れた佳作といえるのではないでしょうか。

 

 
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監督  ジョン・ブアマン
製作  バリー・スパイキングス 、エリック・プレスコウ
     ジョン・ブアマン
製作総指揮  ショーン・ライアーソン
脚本  アレックス・ラスカー 、ビル・ルーベンスタイン
撮影  ジョン・シール
音楽  ハンス・ジマー  
出演  パトリシア・アークエット 、ウー・アウン・コー
     フランシス・マクドーマンド 、スポルディング・グレイ
     アデール・ラッツ 、チャーリー・ブアマン








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Last updated  2007.08.29 17:45:33
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