|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
初期のチャップリン映画。笑いにペーソスを織り込む、諸名作の原典ともいえる作品。 浮浪者チャーリーは職安に出かけるが、周りの連中との競走に敗れ、職は決まらずじまい。ふて腐れる彼の前にやがて野良犬同士のケンカが始まる。一匹の犬に自分と同じ姿を見出したチャーリーは、たまらずにその犬を助け出し、彼と犬との共同生活が始まって行く……。 30分の短編。チャップリンらしい悲喜劇の繰り返しに、体を張った笑いが多く盛り込まれています。 なんでもないように見えて、実は神業と言えるようなカットがいっぱい。 柵を使った警官とのバトル、職安での立ち回り、泥棒を二人羽織で騙すシーン、どれも名場面ですね。 バーの若手歌手(エドナ・パーヴィアンス)が歌う懐メロに聴き惚れている客のおば様が、蛇口をひねったように泣くのですが、このちょちょ切れ涙、チャップリンが原点なのかもしれませんね! こんなに古い作品で見られるとは思いませんでした。 喧嘩に負けている弱気な捨て犬を自分と重ね合わせ、たまらず拾って一緒に暮らし始めたチャーリー。 一人と一匹はどこへ行くにも一緒です。 破れたズボンの穴から、わんこの尻尾がゆらりと飛び出して、すれ違う人々を驚かせてみたり、置いてある太鼓を叩いてみたり、コンビネーションの良さに笑いました。 バーで愛らしい新米歌手と知り合ったチャーリーは、彼女に恋して「お金はあるから、一緒に田舎暮らしをしよう」と誘います。 実はそのお金、二人組の泥棒が酔っ払いからスッて隠しておいたものを、わんこが偶然‘ここほれわんわん’と掘り起こしたのでした。 泥棒に見つかって取り返され、また取り返しては取り返され……他人を巻き込んだ騒動の結末は、わんこの活躍でちゃっかりハッピーエンドと相成ります。 片田舎に拡がる大きな畑。そこにはひとつずつ丁寧に種をまくチャーリーの姿が。 食事時には可愛い妻が、温かな部屋で手料理を用意して待っています。 ――これぞ幸せの情景。 そのかたわらには、相棒のわんこが子犬たちに囲まれている姿が絵に描いたように微笑ましいのでした。 監督 チャールズ・チャップリン 出演 チャールズ・チャップリン 、エドナ・パーヴィアンス チャック・ライスナー 、ヘンリー・バーグマン シド・チャップリン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|