|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
2001年9月11日、空港を飛び立った旅客機4機が、ほぼ同時にハイジャックされる。うち3機はワールド・トレード・センター、国防総省ペンタゴンに激突炎上した。しかし残る一機はターゲットに到達することなくペンシルヴェニア州に墜落。本作はこのユナイテッド航空93便の乗客たちと、必死で事態の掌握に務める地上の航空関係者たちの緊迫のやり取りを、極限の臨場感で描き出した衝撃のノンフィクション・サスペンス。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年前の9.11事件。あの時アメリカの航空機関でなにがあったのか――ドキュメンタリーを多く手がけてきた、イギリス人ジャーナリストでもあるポール・グリーングラスが、徹底したリアリティーで描き出すノンフィクションドキュメンタリー。 あの日、ハイジャックの可能性を知り、にわかにどよめきだった地上の航空関係者たちがいました。 ワールド・トレード・センターの惨事に釘付けとなっていた頃、その裏では民間機の安全のために、どれほど管制官らが力を尽くしていたことか…… 知らなかった事件の側面に驚かされました。 無線の通じない機が続出し、レーダーから消息を絶つ機が続々と増えていくパニック。 窓の外に広がるワールド・トレード・センターから噴上がる煙に唖然とする関係者たち。 パニックになった真実の反応や当事者たちの動きは、まさにこうだったのだろうと思います。 人は突然起こった危機的な状況を簡単には理解できない生き物なのですよね。。 そのうろたえが、十分すぎるほど伝わってきました。 タイトルとなっているユナイテッド93便は、テロリストに抵抗を試み、爆発目的地まで到達するのを食い止めた、唯一の機でした。 トレード・センターで起こった民間機爆発も、テロであることも、自分たちの運命さえも知ってしまった乗客乗員約50名がとった行動は、死ぬ気になって奮い起こした勇気ある抵抗。 わずかでも生き残る望みがあるならばと、団結して奮い起こした最後の勇気でした。 脚色の無い真実に基づいているからこそ、鬼気として迫ってくるものがある。 電話での最期の別れも、恐怖感も、この臨場感の中で、自分のものとなって襲い掛かってくるようでした。 本編の映像とは関係ありません。 ポール・グリーングラス監督は前作「ボーン・スプレマシー」で、ブレとぐるぐる回る映像の多さに好き嫌い分かれましたが、私はとても好きでした。 今回もリアリティの追及と臨場感を極限まで高めた感じで、カメラのブレが気になる部分もありました。 でもそこを超えてしまうと、もう監督の意図にずっとのって行けるのではないでしょうか。 この映画を観る意味、それはチラシから拝借するなら「今生きていることの大切さを感じる」「事件を生かしておく」ということなのかもしれませんが、それと同じくらい、テロの犯人イスラム過激派がいる背景を知っていくきっかけとしても大事だと思いました。 グリーングラス監督は「ボーン・スプレマシー」の他に、アイルランド・デリーでカトリック系住民のデモに政府が発砲し死者を出した事件の映画化「ブラディ・サンデー」、風変わりな純愛映画「ヴァージン・フライト」も大好きです。 この監督だからこそ観たかったのでもあります。 監督・脚本 ポール・グリーングラス 製作 ティム・ビーヴァン 、エリック・フェルナー ロイド・レヴィン 製作総指揮 ライザ・チェイシン 、デブラ・ヘイワード 撮影 バリー・アクロイド 音楽 ジョン・パウエル 出演 ハリド・アブダラ 、ポリー・アダムス オパル・アラディン 、ルイス・アルサマリ デヴィッド・アラン・ブッシェ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|