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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:韓国映画
失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、一時的に田舎の祖母の家で暮らすことになった少年サンウと祖母の交流を綴った感動ドラマ。都会育ちで反抗的な少年と、どこまでも寛容で愛情溢れる老婆が、心を通わせ絆を深めていく過程を、叙情豊かにかつノスタルジックに描く。 静かでノスタルジックでとても感動しました。 嘘っぽくなくて自然で、なにより視線が温かい。 少年役以外は素人の方々なのだそうです。 初めて行く母の実家はド田舎。ひとりで暮らすおばあちゃんは口が利けず耳も聞こえません。 母とふたり暮らしのサンウは、いつも一人でいることに慣れているこしゃまくれた少年で、おばあちゃんと暮らすはめになった2ヶ月、何もかも勝手の違う生活にさっそく耐えられなくなります。 水道も水洗トイレもない生活。 なにもかもが気に食わないサンウは、おばあちゃんの耳が聞こえないのをいいことに「バーカ」とか「きたない!」とか悪口言い放題です。 自然の中で過ごしたことのない彼にとっては毎日が暇。 ゲームばかりして、そのうちに電池が切れて、とうとう都会から持ってきた色んな物が使い物にならなくなります。 彼の生意気さも、反抗心も。 年老いたおばあちゃんにしてみたら、孫のサンウは未知の存在です。 世代の違う都会の子ども相手に、お金もなく、言葉でコミュニケーションもとれません。 それでも孫になにかしてあげたい気持ちはいっぱいあって、その素朴な優しさは、次第にサンウにも伝わってゆくのでした。 少年は、おばあちゃんの家にきて初めて、愛情のぬくもりとか安心感を肌と心に感じたのではないでしょうか。 はじめは腹が立つほどクソ生意気なガキンチョなのですが、ひねくれてめんこくないからこそ、思いやりを持てるようになってくる描写が生き生きと感じられました。 少年は田舎でささやかな恋をして、本当の優しさを身に着けて、おばあちゃんが大好きになって帰って行きます。 ラストは涙がぼろぼろでした。 なにもないド田舎でも、互いにしてあげられることはいっぱいあります。 必要なのはお金でも言葉でもありません。 いつも針に糸を通せなくて困っていた後姿、字が書けないおばあちゃんを思って、夜中遅くまで精一杯のお礼を残していこうとするサンウの心に泣けました―― 田舎や年寄りが持っているぬくもり、故郷のようなあったかさに、最後は観てる自分まで包まれて、暫く幸せな余韻でいっぱいになりました。 冒頭で「すっごいめんこくない!」と思っていたサンウですが…帰れる場所ができて、待っていてくれる人ができて「ほんと良かったね!」とラストに思えてしまうのが~なんともいいです~ イ・ジョンヒャン監督作は前作「美術館の隣の動物園」との2作品だけのようですね。 どちらも好き。次回作が楽しみです♪ 監督・脚本 イ・ジョンヒャン 製作 ファン・ウヒョン 、ファン・ジェウ 撮影 ユン・ホンシク 出演: キム・ウルブン 、ユ・スンホ サンウ ミン・ギョンフン 、イム・ウンギョン トン・ヒョフィ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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