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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
バレンタインデー目前のある日、ジョエルは、最近ケンカ別れした恋人クレメンタインについての、不思議な手紙を受け取る。 「クレメンタインはジョエルの記憶を全て消し去りました。今後、彼女の過去について絶対触れないようにお願いします。ラクーナ社」。仲直りしようと思っていた矢先にそんな知らせを受け、立ち直れないジョエル。彼は、彼女と同じくの記憶を消すことを決意し、ラクーナ医院を訪れるのだが・・・。 ジム・キャリーにケイト・ウィンスレット、演技派ふたりの競演です。DVDの写真はこのふたりに見えませんね。若い男女の甘い物語を連想してしまいそうですが、ひと捻りある、なかなか素敵な作品でした。 代わり映えのない人生を送ってきた平凡な男ジョエル(ジム)と、安定した生活に飢えている気分屋のクレメンタイン(ケイト)は、出逢ってすぐに恋に落ちます。お互いちょっと変わったところも好きで、お似合いの二人となりますが、付き合っていくうち募り募った不満から大喧嘩をしてしまうのです。 衝動で彼の記憶を消してしまったクレメンタインと、それを知って、同じように彼女の記憶を消去しようとするジョエル・・・しかし記憶から消えていく彼女の姿に耐えられず、どんなに辛くても覚えている方を選んだ彼は、消去作業が行われている夢うつつの中で、無意識の中を夢の中を、懸命にクレメンタインの手を引き逃げるのでした――― 「思い出せば小さなことが幸せだった・・」 「ジョエルの記憶のなか 二人が出会った海」 ‘部分的に記憶を消す’そんなことができる架空の設定で繰り広げられるラブストーリー。冒頭ノーマルに始まるけれど、『ラクーナ社』の介入で突如風変わりなお話となります。 依頼主の忘れたい記憶を消し、開放させるのが『ラクーナ社』の仕事。この奇妙な会社が平凡なジョエルを変えていくわけですが、コメディタッチでもあり幻想的でもあり、サスペンスフルでもありました。 脚本がチャーリー・カウフマンらしく「マルコヴィッチの穴」にちょっと似ていると思います。 記憶の中で逃げ回るうち、出会いの思い出や些細な日常が記憶から呼び起こされて、そこに愛おしさをいっぱい見つけてしまう。すでに彼女に消された自分、そして自らの中でも、消え入りそうな彼女の存在が、いま切実に忘れがたいものと感じられる―――そういうくだりが上手いです。再会というシチュエーションも。 倦怠期の乗り越え方を見ているようでもありました。 恋について記憶を消したいだなんて、そうとう辛くないと思えないことでしょう・・・この作品の中では、簡単にそれができる設定だというのもふたりに感情移入するポイントとなるのかもしれません。 そしてもうひとつ、『ラクーナ社』内での恋愛エピソードもサプライズを秘めていて楽しめました。 記憶の中を逃げ回るシーンは、曖昧な上に不確かで、めまぐるしく変動していきます。幼少時代にいけば、小さなジョエルになり、氷の上に寝転んで星を見ていたと思ったら、道端で寝ていたり。あれよあれよという間に存在する世界が変わって、すごく臨機応変。 CGが多く使われていますが、どれも効果的でした。 懐かしいカンジの音楽、恋する気持ち、思わずぐっとくる作品。臨機応変すぎてか、突拍子なくてか、脚本の複雑さか、分かりにくさはあるけれど、喧嘩して仲直りしたり、別れても元サヤに戻ったり、すごく好きあうふたりの間に生まれるたくさんの感情はとても身近で好きでした。 ジム・キャリーが普通の役?と多少疑問でしたが、なんのなんの彼の多様な演技の幅が生かされる役柄でしたね。 それにしても主演ふたりはお上手! 変わってるけれど結構ロマンチックです。 監督 ミシェル・ゴンドリー 製作 アンソニー・ブレグマン 、スティーヴ・ゴリン 脚本 チャーリー・カウフマン 音楽 ジョン・ブライオン 出演 ジム・キャリー 、ケイト・ウィンスレット 、キルステン・ダンスト マーク・ラファロ 、イライジャ・ウッド (カラー/107分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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