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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イタリア映画
19歳の若さでバイエルン国王となったルードヴィヒ2世。 作曲家ワグナーに心酔し、国費を遣い込み、従姉妹のオーストリア皇后エリーザベトを生涯愛した彼は、戦争に負けて以後、精神を病み失意のどん底で謎の死を遂げる。 その生涯を描いた壮大なドラマ。 ヴィスコンティは「ベニスに死す」と「地獄に堕ちた勇者ども」のイメージがとても大きいです。 ほかの作品をまだあまり知らないせいもあると思いますが、どちらもとても好きで、その色気や甘美な映像には、これからも惹かれ続けるような気がしています。 1969年の「地獄に堕ちた勇者ども」1971年の「ベニスに死す」、そしてこの「ルートヴィヒ」が、イタリア人監督ヴィスコンティによる‘ドイツ三部作’なのだそうです。 今回は観たのは完全版の4時間バージョン。 それはそれは長い4時間でした。 とにかく美しく、妖しく、色気に包まれた作品でしたが、それにしても長く感じられて、前2作のような思わず引き込まれるようなパワーが足りないのは残念でした。 19世紀にタイムスリップしたかのような城内の装飾品の数々は見所のひとつ。 豪華絢爛な暮らしぶりから、次第に窮地に追い込まれていくルートヴィヒは、不幸の階段を転がり落ちていくよう。。 ワーグナーへの心酔、人の妻であるエリーザベトへの愛、戦争での敗北。 さまざまな出来事が要因となって、精神を病んで行く国王の苦悩は、痛々しくもあるけれど自業自得でもあり、かといってほぼ実話なのに絵空事のように感じてしまいました。 おおきく感情が動かされることなく、数奇な運命が終わりを迎える時まで、淡々と綴られていきます。 常に監視され陰謀に怯え・・ルートヴィヒが正常でいられるなくなるのもわかる気がする。 いつしか、若い男の家臣のみを周りにおいて、男色と物語の中に溺れていく彼の退廃した生活は、もう救いようがないほどに堕ちていってしまうばかりです・・・ 「地獄に堕ちた勇者ども」でも印象的だったヘルムート・バーガーが、こちらでもインパクトある演技で主演を見事に演じています。 彼の美貌、その強い目は、この映画によく似合う。 間延びした感は否めませんが、完全版でなければ、もっと凝縮された良さを感じられたのかもしれません。 監督 ルキノ・ヴィスコンティ 製作総指揮 ロバート・ゴードン・エドワーズ 脚本 ルキノ・ヴィスコンティ 、エンリコ・メディオーリ スーゾ・チェッキ・ダミーコ 撮影 アルマンド・ナンヌッツィ 音楽 フランコ・マンニーノ 出演 ヘルムート・バーガー 、ロミー・シュナイダー トレヴァー・ハワード 、シルヴァーナ・マンガーノ アドリアーナ・アスティ 、ソニア・ペトローヴァ ジョン・モルダー=ブラウン 、マルク・ポレル (カラー/240分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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