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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
ミシガン州フリントは世界一の自動車会社GM(ゼネラル・モータース)の工場町として知られ、かつては豊かだった。自分を除く全ての親族がGM社員だったと言うジャーナリストのマイケル・ムーアは、不況で続々と工場が閉鎖となり、人口の1/5にあたる3万人が失業する町の危機に直面する。 大量クビ切りを重ねるGMのやり口に腹を立て、ともかく会長ロジャー・スミスに町の現状を見せようと彼を追うマイケルだったが・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 持ち前のユーモアとしつこさで突撃取材を重ねる、マイケル・ムーアの初監督作品。 標的はGMの会長ロジャー・スミス氏です。 彼自身の生い立ちから始まるこのドキュメンタリーは、その後の彼の作品とすでに同じスタイル。 ユーモラスで風刺たっぷりで、編集が巧い! 軽く構えた素振りでありながら、問題の根っこにまでしっかり目を向けていて、社会派ドキュメンタリーとしてもエンターテイメントとしても、見ごたえを感じます。 失業者3万人という数にも驚きますが、窮困する人々の最低ラインの暮らしにも驚かされました。 企業の犠牲となる人々に救いの手は伸びません。 追い立てられて、町をでていくしかありません。 他人事のように「たんに怠けている」と決め付ける潤った人々との格差は、今も残っているそうです。 失業率は2割以上。犯罪も激増して刑務所はパンク。 自分の利益ばかりを追及する人は、世の中にはいっぱいいるはずです。 たまたま標的となったのがスミス氏なだけで、企業の経営が悪化したからといって、簡単に社員を切り捨てるようなことも茶飯事となっていますね。 強いものが弱いものを切り捨てたら、弱いものはどうすればいいんでしょう。 小さな町の小さな会社から、世界の各国の貧困にいたるまで、問題は個人の意識にゆだねられているのですね。 ロジャー・スミス氏には、それが痛くも痒くもなんだと、よくわかります。 財政破綻した夕張も絶対住みたいとは思えないけれど、このフリントという町にはもっと住みたくないな~と思いました。 暗い気持ちになってくる、希望の持てない町に住むなんてなんて辛い。 本編中に登場する、飼いうさぎを絞めて食用にしていた女性が、はじめは異常に見えていたけれど、最後でふと困難に果敢にも立ち向かっていて良い意味で逞しく思えたのはわたしだけではないはずです。 こんなふうにでもならないと生き残れない国アメリカ、というイメージが更に強くなってしまいました。 ムーア監督もそれに気づいてうんざりしているのかもしれません。 青春時代には私の憧れの国だったのに・・・ 監督・製作・脚本 マイケル・ムーア 撮影 クリストファー・ビーヴァー 、ジョン・プルーサック ケヴィン・ラファティ 、ブルース・シェーマー 音楽 ジュディ・アービング (カラー/90分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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