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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
トリュフォーらとともにカンヌ映画祭を中止に追い込んだ1968年から5年、再び商業映画のメガフォンを取った巨匠ゴダールの政治色濃い異色ドラマ。 冒頭の”映画を撮ろう”と決めて、出演者・製作陣への小切手にサインするペンと紙の音がとても印象的。物語に入る前にバックステージを見せることで、いやでも客観的にさせる。「お金がかかる」という嘆きが可笑しい。 とはいえ、何が起こるのかワクワクするような始まりも、内容はいまいちで、社会的な背景に名優の二人ジェーン・フォンダとイヴ・モンタンが演じる夫婦の危機は、どう捉えるたらいいかわからないままにラストを迎えてしまう。 様々な趣向の映画を撮るというゴダールらしい、掴みどころない一作。 (あらすじ) ジャーナリストの妻(フォンダ)がCM監督の夫(モンタン)をともなって食肉工場を取材で訪れる。しかし工場は学生ストの真っ最中。監禁された社長と対談することになるのだがー 工場で課せられる過酷な労働や低すぎる給料など、ストで叫ばれる訴えは悲痛だ。血のついたエプロンをつけた労働者たちの姿には迫力があり、ドキュメンタリーのような臨場感だった。 事務所内の幾部屋もが見渡せるセットは面白く、まるでジャック・タチの世界観。 ただ、なんの映画だっけ?と夫婦のエピソードから一旦逸れる展開は、物語の流れや繋がりを意に介さないゴダール流か、戸惑ってしまう。巨大スーパーマーケットでの出来事や言葉を交わさないラストシーンなどは素直に流石だとおもえた。 偶然、最近読み終えた本と重なって、フランスの暗部も垣間見えた気がした本編。物語を楽しむためのものでは決してない。 監督 ジャン=リュック・ゴダール 、ジャン=ピエール・ゴラン 製作 ジャン=ピエール・ラッサム 撮影 アルマン・マルコ 出演 ジェーン・フォンダ 、イヴ・モンタン ヴィットリオ・カプリオーリ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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