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2007.05.02
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カテゴリ:イタリア映画


  ギリシア悲劇の『エレクトラ』になぞらえた、イタリアの古都を舞台にした物語。
結婚まもない米国人の夫と共に、故郷ボルテッラの実家を訪れたサンドラ(カルディナーレ)。幼い頃に父をアウシュビッツで亡くしてからは、屋敷は母の再婚相手のものとなっていたが、弟ジャンニ(J・ソレル)はまだそこに暮らしていて、彼女に変わらない兄弟愛以上の感情を持ち続けていているのだった・・・。
貴族階級の姉弟の禁断の愛をミステリアスに描く。



 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  幸せな結婚して間もない夫婦が、妻・サンドラの故郷で暗い過去の因縁に巻き込まれ、悲劇を迎えてしまう―――
禁断の愛、運命。そういったものを幻想的に描いた作品で、ヴィスコンティらしい甘美さをあわせ持っていました。
主人公が上流階級というのも。

クラウディア・カルディナーレの妖艶な美しさと、ピアノの旋律がなんともいえないいい雰囲気を醸しています。
故郷では異質なアメリカ人の夫は、サンドラを過去から解き放ち、唯一幸せにできる人だったのかもしれない・・・
けれど、帰郷したばかりに、過去のどろどろとした愛憎が再び大きくのしかかってきてしまうのです。
    

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弟ジャンニの、姉に抱く愛は痛々しく無垢で切ないもの。
それ以上に、サンドラの父への愛も、人生を大きく変えていくほど大きなものでした。
母親の再婚相手を憎み父の死の秘密を知りはじめるとき・・・怒り、復讐心、そして弟や夫への愛によろけてしまうサンドラに感情移入しました。
強い意思を持った女性だからこその結末が、とても良いですね。
彼女の凛とした生き方も見所です。


元となった「エレクトラ」とはギリシャ神話のなかに出てくる女性の名。
女の子が父親に抱く強い独占欲と、母親に対する対抗意識のことを、エレクトラコンプレックスというそうです。
このコンプレックスを題材とした幻想とミステリアスな展開が楽しめました。



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 監督  ルキノ・ヴィスコンティ
 製作  フランコ・クリスタルディ
 脚本  ルキノ・ヴィスコンティ 、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
      エンリコ・メディオーリ
 撮影  アルマンド・ナンヌッツィ  
 出演  クラウディア・カルディナーレ 、ジャン・ソレル
      マイケル・クレイグ 、マリー・ベル
      レンツォ・リッチ

   (モノクロ/100分)









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Last updated  2007.05.06 14:48:30
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