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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
奇才テリー・ギリアム監督が、グリム童話誕生秘話をイマジネーション豊かに描き出したダーク・ファンタジー・コメディ。 19世紀のドイツ。兄ウィル(マット)と弟ジェイコブ(ヒース)のグリム兄弟は、各地の村を旅して、その地に伝わる古い物語を蒐集する傍ら、魔物退治と偽り村人から多額の報酬を受け取るペテン師だった。そんな彼らが本物の魔女と対決するハメになるさまを、有名童話のエッセンスを散りばめながら描く。 テリー・ギリアム監督の最新作ということで、公開当時から気になっていた作品です。 独特な映像世界で有名な方ですが、こちらはなんとも期待はずれ。 同年の作品で、この撮影を中断して撮りあげたという「ローズ・イン・タイドランド」のほうが、予告からもずっと面白そうに見えたし、評判も良いようです。 そちらにエネルギーを注ぎすぎてしまったんじゃ?というくらいにパッとしない出来栄えでした。 グリム童話といえば、暫く前に『本当は恐ろしいグリム童話』という本が話題になりました(読んでいませんが)。 和洋・異国に関わらず、言い伝えとか昔話というものには、興味惹かれます。 ただこちらは、よくある、ほんとうによくあるファンタジーの域から出ていない感じで残念です。 白雪姫の継母よろしく、永遠の美を求めて500年も塔のてっぺんで生き続ける魔女を、グリム兄弟が退治するお話――― なのですが、子供がさらわれ生け贄になるとか、呪われた森とか、真新しいものがありません。 動き回る‘生きた木’は、長年温めてきたひとつの見せ場だったようですが、今となっては「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」などで見慣れてしまった感も。 ただトーンの抑えられた森の情景は、どれも好きでした。 青々としていない、枯れ葉舞う不気味な森。 そこに童話の主人公たちに似せた村の子供たちが、ヘンゼルとグレーテルや赤ずきんちゃんのように登場すると、心なしかわくわくするよう。 「ボーン」シリーズで素敵だったマット・デイモンは今回ちょっと微妙。 弟を演じたヒース・レジャーは、間の抜けた優男役を好演していました。 眼鏡をかけて、いつも本を手放さず、伝説を信じるジェイコブがいい味。 二人を助けて、自らも父と妹二人を森でさらわれたアンジェリカは、レナ・ヘディが演じています。 あまり見かけない女優さんですが、色っぽさがこの作品には似合っていないかな。 その他の脇役も豪華です。 ドイツを占領しているフランス軍の司令官?ドゥラトンブを、先日の「夢見る頃を過ぎても」にスター役で出演していたジョナサン・プライス。 その部下・カヴァルディを「コンスタンティン」のピーター・ストーメアが好演。 魔女役にはモニカ・ベルッチ。 脇役に助けられつつ、無難ながらも、展開のグダグダ感は否めない2時間。 あまり怖くないので子どももOKですが、大人以上に子どもが飽きてしまうかもしれません。 監督 テリー・ギリアム 製作 チャールズ・ローヴェン 、ダニエル・ボブカー 脚本 アーレン・クルーガー 音楽 ダリオ・マリアネッリ 出演 マット・デイモン 、ヒース・レジャー 、モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス 、レナ・ヘディ ピーター・ストーメア (カラー/117分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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