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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
マリオネットが生きる世界。すべての生き物は、遥か上空へと伸びる糸で天と繋がっていた。ある時、栄華を誇るヘバロン王国で、年老いた国王カーロはこれまでの所業を悔い、心清き若き王子ハルに国の平和を託す遺書を遺し自死する。しかし王位を狙う弟ニゾは遺書を破り捨て、敵対する一族ゼリスの仕業と見せかけ、王子を復讐の旅へと送り出すのだった…。 人形劇が好きなので楽しみにしていた映画です。 天から伸びる糸=命を繋ぐもの、として普通なら見えないふりをするはずの糸が、上手に物語と絡んでいます。 2004年デンマークの作品ですが、日本公開にあたって庵野秀明監督が手を入れていることもあり、吹き替え版しかないのが残念。 ヘバロン国と森の民ゼリス。 長きにわたって争ってきたふたつの国は、褐色のゼリスと白肌のヘバロン、まるで黒人・白人を思わせます。 もともと住んでいた民を殺し、その土地を奪うという過去は、歴史の縮図かもしれません。 褐色でも白でもない、金色の肌をもつ王ハルを主人公に、新しい世界を切り開いていくまでの物語。 復讐の旅、叔父であるニゾの策略、ゼリスのジータとの恋。 様々な出来事をとおして、父親がなせなかった国の平和をなすまでを描きます。 「冒頭・遺書を書き自害する王」 「嵌められたハルは奴隷として拾われる」 操り人形の糸が命である――この設定が面白いですね~ たとえば牢屋の壁や国の城壁が上空にあったり、戦いの場面では糸を切られると死んでしまうという、新鮮な驚きが楽しめます。 操り人形の世界には独特な魅力がありました。 物語はとてもシンプルですが、そこで生きてる人形たちに命は吹き込まれているのを感じます。 吹き替えは可も不可もなく、ただ草なぎ君はおしが弱いかも・・・ 劇団ひとりは流石。 ダイナミックさと世界観がいい。 ただ川本喜八郎さんの作品を幼い頃からみてきて、どうしても動きの繊細さを求めてしまうのが、物足りなさが残った理由かもしれません。。 人形の表情は変わらないのに様々に変化して見える――それは人形劇の素晴らしさのひとつですね~ “それぞれの糸はみな天で繋がっている” これが大きなテーマです。 人は他人との繋がりがあってこそ生きていけるもの。 ジータに教えられて、飛翔する方法を知ったハルは、初めて見えない糸も見える糸も、みんな繋がりあっていることを実感します。 そして自分の国が犯した罪も受け止めることができるようになるのです。 本編が終って、エンドクレジットが流れ終わるまで、誰も席を立たなかったのは、とても久しぶりのことでした。 声優陣のおまけもありましたよ 監督 アンデルス・ルノウ・クラルン 、庵野秀明(日本版) 脚色 長塚圭史 撮影 ジャン・ウェインク 、キム・ハッテセン 声 草なぎ剛 、中谷美紀 、劇団ひとり 、優香 小林克也 、香取慎吾 、戸田恵子 (カラー/93分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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