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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:ハンガリー映画
第二次大戦中のブダペスト。夫がレジスタンスとして地下に潜ったため一人になった妻と、偽装のためあてがわれた仮の夫との間に、やがて愛情が芽生えていくが―――。 権力と庶民のせめぎ合いを描きながら、上質な恋愛映画にもなっている。 ベルリン国際映画祭で監督賞を受賞した作品です。 ナチス統治下のブダペストで、互いにあてがわれた相手と、偽の夫婦を演じて暮らすことになった男女の物語。 密告の恐怖に怯えた暮らしの中で、揺れ動くこころを描きます。 社会主義への批判大きく・・・けれどダブル不倫を描いた恋愛の見所は更に大きく、暗い雰囲気でしたが、とても見ごたえありました。 この暗さ、イシュトヴァン・サボーらしいと思ってみましたが、今年公開の「華麗なる恋の舞台で」は軽妙でドラマチックな明るい作品のようですね~ 同じ監督とは思いませんでした。 特有の閉塞感と疑心暗鬼、家族を裏切っていることへの罪悪感――― 様々な思いに囚われながら、それでも惹かれあってしまう二人の姿に、イヤらしさはありません。 純粋にさえ感じてしまう、不倫の関係。 特別な状況下だからこそ、恋愛感情を抱いたのかもしれませんね~ 度胸がなく、いつも怯えている男と、だんだん気丈になっていく女。 対照的な二人がさらに面白い。 男は夜になって肌を合わせている時だけ、「どこか遠くへ一緒に行きたい」そう言ったりするのですが、朝、女がその気になっているのを見ると取り消したくなる・・・後悔する・・・。 密告者にも罪悪感にも怯えている男は、結局愛し始めた女さえ、信じることができないのです。 男と女って、こういうパターンが多いのではないかと思えてくるのですが、どうでしょうか。 先を見て怖くなるのは、いつも男なのかもしれません。 恋愛の機微を巧く捉えたラブストーリー。 閉塞感とともに、戦局が悪化する背景や、本物の夫との再会を交えるなど、最後までハラハラとさせられました。 途切れるようなラストも好きです。 監督 イシュトヴァン・サボー 原作 エリカ・サント 脚本 イシュトヴァン・サボー 、エリカ・サント 撮影 ラホス・コルタイ 出演 イルディコ・バンシャーギ 、ペーター・アンドライ (カラー/106分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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