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2007.07.12
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カテゴリ:アメリカ映画


   1998年アイダホ、22歳のビクターは10年前に母と自分を捨てた父を憎んでいた。そんなある日、何の連絡もなかった父が、遠くアリゾナの地で死んだという知らせを受ける。遺灰の引き取りを拒むビクターだったが、幼なじみのトーマスに説得され、2人は生まれてはじめてアイダホの居留地を出て旅立つのだった―――。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  毎年ユタ州で開催されるサンダンス映画祭
インディーズ・ムービーが対象で、ロバート・レッドフォードが設立したことでも有名です。
サンダンスの専門学校?とNHKの共催で「サンダンス・NHK国際映像作家賞」なる賞もあり、放送権を賞金として支払うため、BSではサンダンス関連の作品が、幾つも放送されていました。
その中のひとつ「スモーク・シグナルズ」は、製作者みんながネイティブ・アメリカンという初の作品で、観客賞に選ばれています。



  ある日、仲間が集まり盛大なパーティーが開かれた夜。その晩に、トーマスの家が突然火災になり、彼の両親は逃げ遅れ死んでしまいます。
赤ん坊だったトーマスは、ぎりぎりのところで二階から投げ落とされ、ビクターの父親に抱きとめられるのです。
それから12年。彼らが12歳になったある日、ビクターの父親は突然家を飛び出し、二度と戻ることがありませんでした。
物語はそこからさらに10年。彼らが22歳になったところから始まります。


幼馴染のふたりは性格が正反対。
両親を火事で亡くしてから祖母に育てられたトーマスは、気立てがよくお喋り好き。
一方、10年前に父が蒸発したビクターは、家族を捨てた酒飲みの父を憎んでいる、とっつきにくい青年。
ある日舞い込んだ、突然の父の悲報に、怒りと戸惑いを隠せないビクターでしたが、トーマスに説得されてまだ見ぬアリゾナの地へと、遺骨を受け取る旅に出るのです。


ネイティブ・アメリカンへの偏見や、罪を犯した人を許せるか・・・というのがテーマ。
初めて居留地を出て、長距離バスに乗ったふたりの友情物語であると同時に、脈々と受け継がれる親子の血・部族の血を描く、小品でありながら広い視野を持った作品でした。
なぜ父は家族を捨てたのか・・・
思い出される父との思い出に心を痛め続けているビクターが、心優しいトーマスの存在に助けられながら、真実を知って過去を清算してゆくのですが――


 
sumo-ku sumo-ku



アリゾナへ着いた彼らを待っていたのは、若くて美しい女性スージーでした。
彼女は父と過ごした数年間を語り、父親のような存在だったことを告げます。
そして、なぜ故郷も家族も捨てて蒸発したのか・・話して聞かせるのです。

冒頭で起こった22年前の火災と関係があることは、伏線から察しられる展開。
あの火災事故が蒸発への引き金となったことを、ビクターが理解していくのは簡単ではありません。
怒ったり後悔してみたり、そしてちょっと容赦してみたりしながら、きっと心から許せる日がくるまで、ずっと悩み続けていくのでしょうね~
人は単純にはいかない。ワケがわかったからといって、すぐ許せるとは限らない。
そういう心理描写もインディーズ映画とは思えないほどしっかりしている内容でした。


ロードムービーは、旅のラストが肝心。
以前読んだ、田中英司という人の受け売りですが、散々炸裂した感情を行き着かせる場所として、海はよく使われるそうです。(言われてみれは・・)
この作品のラストも・・といいたいところですが、こちらは大きな滝。
ネイティブ・アメリカンには神聖な滝の流れが選ばれています。

ネイティブであるからこその、独特な神聖さに包まれている作品。
金銭面の苦しさも、偏見も、部族への誇りも、新鮮な強さと清清しさがあって後味も良い。
上手くまとまとめられている良作でした。

主演のビクターを演じたアダム・ビーチは「ウインドトーカーズ」「父親たちの星条旗」にも出演しています。
髪型ひとつで別人に見えますね~
後半、弔いの儀式で長髪を切り落とした後、見るからにカツラだったのは、撮影のスケジュール上仕方がなっかのでしょう。




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 監督  クリス・エアー
 製作  ラリー・エステス
 原作・脚本  シャーマン・アレクシー
 撮影  ブライアン・ケイプナー
 音楽  B・C・スミス
 出演  アダム・ビーチ 、エヴァン・アダムス
      アイリーン・ベダード 、ゲイリー・ファーマー
      タントゥー・カーディナル 、サイモン・ベイカー

  (カラー/89分)









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Last updated  2007.07.15 12:33:33
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