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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
チャップリン、晩年の傑作。 絶望から自殺を図ったバレリーナを助け、彼女の再起のために尽くした、ある道化師の物語―――。 仕事もなく落ちぶれたカルベロは、老人の域に入りつつあるチャップリンと、どこか重なります。過去の栄光、スターだった頃のプライド、今はどんなに情けなくても、道化師として生涯を生き続ける、一貫したカルベロの姿に心動かされました。 カルベロの献身的な介護のおかげで身も心も回復したバレリーナ・テリーは、親子ほども歳の離れた彼に恋をします。そして彼も。 共に暮らし、テリーの才能は花開き、舞台で舞う彼女はスターとなりますが、反面、落ちぶれた道化師カルベロは、求められた場所でひたむきに自らの芸を演じる日々が続くのです。 心は泣いても、目の前の客を笑わせるのが道化師。 プライドも円熟した芸もなく、ただ客席を沸かせることがこの上ない歓びであり存在価値となった、カルベロの姿はどこか悲しい。 彼を元気付けるため、テリーとプロデューサーが仕組んだ最後の大舞台―――。 お客の思いがけない大歓声の中、幸せそうに芸に興じるカルベロに、心動かされました。往年のライバル、バスター・キートンとの共演は、更なる感慨を生む名シーン。 生きてる限りは喜劇を生業として生きる―――そんな主人公はとっても不器用。チャップリンは、自分の生き方を重ねて撮ったのかもしれませんね。 「道」ジェルソミーナ 「天井桟敷の人々」バチスト 道化師ときくと、この二人をまず思い浮かべます。大好きな映画の、大好きな道化師たち。 皆、悲しい道化師です。 チャップリンの喜劇にある、哀愁や悲壮感といった要素は、より深く心に沁みこんでくる。 素晴らしい作品でした。 監督・製作・脚本/ チャールズ・チャップリン 撮影/ カール・ストラス 音楽/ チャールズ・チャップリン 、ラリー・ラッセル 、レイモンド・ラッシュ 出演/ チャールズ・チャップリン 、クレア・ブルーム 、バスター・キートン (モノクロ/137分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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