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カテゴリ:カナダ映画
ある日、ロンドンで働く証券ディーラー、セバスチャン(ルソー)は、モントリオールに住む母ルイーズから、父親がガンで容態が悪いことを知らされる。 父親レミ(ジラール)は大学教授で、女ぐせが悪く、これまでさんざん家族に迷惑をかけてきた。 父のような人間にはなるまいと、別の道を歩んできたセバスチャンだったが、葛藤を抑えながら、“友人を呼んで楽しい病室にして”という母の頼みを聞き入れ、行動を開始するのだった――― 先日観た「海を飛ぶ夢」と同じ尊厳死を、一部扱ってはいても、違った趣の作品になっていました。 死ぬまでに観たい映画1001本に選ばれ、アカデミー賞・外国語映画賞を獲ってはいますが、日本では意外と評価は低いようです。 生き方の違いか、独特のユーモアのせいか・・? 耐えること、言葉にしないでも伝わるもの。日本人の慣れ親しんだ気質とは逆な、主人公レミの末期なのでした。 この映画は、同じドゥニ監督が1986年に撮った「アメリカ帝国の滅亡」という映画の主人公たちが出演しています。 観ていませんが、4人の男女が延々セックス談義をする、というものらしい。 死という重いテーマにユーモアを持ち入れたくて、この役者陣となったそうです。 その通り、ユーモアを観るとなかなか楽しめるかも。 とにかく前作を引きずってるのか、下ネタ+下品な台詞が飛び交うのですが、友達の中年男女が集まって延々と語りあっていられるのは、楽しそうでした。 ただ、主人公レミには死期が迫っているのです。 父の生き方に反発して、家を出た子どもたちは実家と疎遠になっていました。 やり手の証券ディーラーである息子セバスチャンは、婚約者とともにモントリオールへ戻り、父の最期に尽力します。 病室の手配から、友人知人への連絡、痛みを抑えるためのヘロインの入手まで・・・あらゆることを。 まあ驚くほどのやり手ぶりで、勢いよく展開していく前半はリズミカル。 会話劇を楽しみながら、死にゆく人と見送る人の、心の葛藤を見守ることになります。 それが好きか嫌いかは、分かれるところ。 好きなことをして、家族や友人に見守られて、世を去る瞬間を自分で決められるとしたら、それは幸せでしょう。 息子とのわだかまりも解け、たくさんの友人に見守られて幸せそうな最期でした。 ただ、節操がなく、監督もいうとおり、哲学がない。 (哲学なんて言葉、映像特典をみたから出てきたのだけど) 難しいことじゃなくて、万人に通じる死にゆくときの知恵となるようなことがなかったと、思ったのでした。 ヘロインを手に入れるため、レミの元愛人の娘ナタリー(マリー=ジョゼ・クローズ)と連絡を取ったセバスチャン。 この物語では、彼女が第二の主人公のようです。 母親との関係が悪く、麻薬でボロボロなナタリーは、レミの死に立ち会うことで次第に再生していきます。 快楽を得てきたヘロインで、目の前のレミの痛みを癒し、死に至らせた・・・どんな思いでそれと向かい合ったのでしょう。 彼女の仄かな恋が、きちんと封じられてよかった・・ レミやその友人のように節操のない性を謳歌する遺伝子が、セバスチャンに流れていなくってよかったです~3 秋の木々、紅葉した湖畔の情景が作品を盛り上げています。 これからの季節にいいかも。秋の夜長に。 監督 ドゥニ・アルカン 製作 ダニエル・ルイ 、ドゥニ・ロベール 脚本 ドゥニ・アルカン 撮影 ギイ・デュフォー 音楽 ピエール・アヴィア 出演 レミー・ジラール 、ステファン・ルソー 、マリ=ジョゼ・クローズ マリナ・ハンズ ドロテ・ベリマン 、ルイーズ・ポルタル (カラー/カナダ・フランス合作/99分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.10.10 23:58:26
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