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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
スパイ・ムービーのなかで一等好きな映画は?と聞かれたら、迷わずボーン・シリーズと答えている。
イーサン・ハントも、新生『007』のダニエル・クレイグも、ジェイソン・ボーンには敵わない。マット・デイモン演じる記念すべき第一作目『ボーン・アイデンティティ』が誕生して早20年。あれから不動の一等でありつづけるわけが、シリーズ全4作品一気に見返してみてよくわかる。 ちっとも古臭くならない、スピード感溢れる孤高の闘いっぷりのカッコよさ。色男とはいえない武骨なマット・デイモンだけれど、隠せない知性と身ごなしにいつまでもやられる。 ちなみに、ラストで絶妙に挿入されるMOBYのテーマ曲『EXTREME WAYS』が最高似合っていて、CDを買っていまでもたまに聴いているほどのお気に入りだ。 (あらすじ)CIAの極秘計画“トレッドストーン”によって過去の記憶を消され、究極の暗殺者にされたジェイソン・ボーン。彼はその過去の断片を辿りながら、全てを明らかにしようと、たったひとり最後の闘いに挑む。 今回は、イギリスの大手新聞にボーンの記事が載るところから物語は始まる。記事を書いたロスにボーンが近づき、その情報を聞いたNYのCIA対テロ極秘調査局長ヴォーゼンもまた、監視・尾行を始めるのだった...。 組織VS個人の陰謀ものは数多いけれど、名実共にスマートなマット・デイモンが、台詞少なく男気たっぷりに、自分が何者かを追い求める姿がたまらない。孤高とはいえ、改めて見ると、追う立場でありながらボーンに特別な想いを抱いていくCIAのパメラ(ジョーン・アレン)や、ニッキー(ジュリア・スタイルズ)、ヘザー(アリシア・ヴィカンダー)、第2作目で命を落とす恋人マリー(フランカ・ポテンテ)など、彼は女性たちの肩入れによって密かに救われ助けられ支えられていたりするのだ。そのうえで、マリー意外とは簡単に恋仲になったりしないのが本シリーズの潔さでもある。 悪役の造形がみんな簡潔に分かりやすく、意外とオーソドックスなのもいいところ。 サスペンスフルであっても、手堅く、それでいて映像はとびっきりスタイリッシュに。全シリーズを撮ったO・ウッドの撮影手腕なのか、監督がポール・グリーングラスになってからのほうが、よりスリリングで大好き。スタイリッシュといっても、手ブレを駆使した臨場感とカー・アクションの迫力がすごいのであって、映像自体に真新しいものがあるわけでないところが手堅い。 世界を縦横無尽に駆け巡るスピード感が癖になる。 前作で恋人を失ったボーンが、傷を抱え、自分の名と記憶をとり戻すため、自由を得るため、復讐を果たす――迫真の完結編。 だったのが、9年後に『ジェイソン・ボーン』が作られてシリーズ全4作目にして完結。ということに。どちらにしろ、この『アルティメイタム』で終わっていても素晴らしい幕切れで、それぞれがきちんと尻切れトンボになっていない高い完成度なのも素晴らしいところ。 エンディングのカタルシスが最高!『EXTREME WAYS』を聴く口元はいつだってニンマリしている。 監督 ポール・グリーングラス 製作 フランク・マーシャル 、パトリック・クローリー 、ポール・L・サンドバーグ 原作 ロバート・ラドラム 脚本 トニー・ギルロイ 、スコット・Z・バーンズ 、ジョージ・ノルフィ 撮影 オリヴァー・ウッド 編集 クリストファー・ラウズ 音楽 ジョン・パウエル 出演 マット・デイモン 、ジュリア・スタイルズ 、デヴィッド・ストラザーン スコット・グレン (カラー/115分/アメリカ映画) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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