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2007.12.24
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カテゴリ:イタリア映画

 初老の鉄道員一家の姿を克明に描き出した、哀愁漂う名作ドラマ。
長男は不良仲間と付き合い、長女は駆け落ちし、スト破りで仲間からも孤立する機関士アンドレア(ジェルミ)。末っ子のサンドロは英雄のように父を慕うが―――




古いイタリア映画を観ると、感性が同じと感じることがよくあります。
強い母性と、父親の存在。古き日本と共通しているものではないでしょうか。
こちらも、厳格な父とその家族の骨太な人間ドラマです。
舞台の終盤はクリスマス。この時期にぴったりでした。
とはいっても、哀愁漂い、ちょっと切ない気持ちになります。


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鉄道員のアンドレアは、30年この仕事を続けてきた真面目な男。
実直で頑固一徹、酒好きで、いつものバーで仲間と歌いながら飲むのが、唯一の楽しみでした。
武骨で不器用。家族に愛を伝えることさえ上手くできない彼は、50歳の大台に乗ろうかという時、突如として家族の崩壊に直面するのです。

家族みんなが、それぞれに悩みを抱えています。
不倫している長女、定職つかず仲間に借金のある長男。まだ幼い末っ子のサンドロさえ、成績表が悪かったことに気を揉んでいます。
父・アンドレアも、運転する機関車に飛び込み自殺事故があり、動揺から赤信号を見落とした末に、構内の仕事を命ぜられて、仲間との孤立を深めていくのでした・・・・
母親が包み込むように、ばらばらになりそうな家族を繋いでいる、その姿は、日本の原風景にもあったような、そんな気がしていました。



イタリア映画に登場する少年は、ほんとに魅力がありますね。
本作でも、エドアルド・ネボラが演じたサンドロ少年が素晴らしいです。
衝突しあう家族や夫婦・友人の間で、自然に潤滑油のような役割を果たしているサンドロ。
彼に溢した内緒の愚痴や思いは、しっかり約束を守れないという形で、相手の耳に入り、大人たちはホントの所を知っていくのです。


終盤、突如病に倒れるアンドレアは、自宅で療養しなければならない身となってしまいます。
その年の、クリスマス。

親友の計らいで、彼の元には、続々と馴染み仲間が集まります。
喧嘩別れした長男の姿もありました。
ずっと会っていない長女からの、嬉しい知らせがありました。
何年ぶりかの、賑やかな宵が開かれるのです。
しかし祭りの後、静かになった家で、アンドレアは幸せの余韻のうちに、静かに息をひきとるのでした―――


離れてみてわかる、父親の厳格さのなかの、情深さや存在感を、子どもたちが身に染みて知っていく展開が素晴らしい。
再び彼を受け入れる友人らとの、バーのシーンも感動的です。
アンドレアがいなくなった家は、ガランとして、広く感じてしまう。ぽっかり空いた隙間に寂しさを隠せない母。
終始、夫を支え愛し続けた妻の姿が、余韻を残します。



監督は、イタリアの名匠ピエトロ・ジェルミ。
同じく監督・主演している「刑事」は、すごく気に入って、この夏ディスカスで再見してみました。
初めの満足感とはいかないまでも、やぱり面白い映画でした。
大きなサングラスを掛けた刑事から、こちらは恰幅の良い労働者の体つき。最初ジェルミと気づかないほど別人のようでしたが、役者としてもお見事ということでしょう。




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監督  ピエトロ・ジェルミ
脚本  アルフレード・ジャンネッティ 、ピエトロ・ジェルミ
   ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
撮影  レオニーダ・バルボーニ
音楽  カルロ・ルスティケリ
出演  ピエトロ・ジェルミ 、エドアルド・ネボラ 、ルイザ・デラ・ノーチェ
   シルヴァ・コシナ 、サロ・ウルツィ

(モノクロ/115分/イタリア映画)








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Last updated  2007.12.25 09:52:44
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