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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:スウェーデン映画
大邸宅に残って家を維持していた次女が臨終した。集まった姉妹と女中の4人の女性の心底に潜む、愛、孤独、性、死の断片をえぐり出しながら、“生”の意義を鋭く問う衝撃のドラマ。 恐ろしい作品でした。人間の内面をえぐるもの。おぞまじさにたじろぎました。 末期ガンの次女アグネス(アンデルセン)が抱えるのは、死への恐怖。死の床に伏してもなお疼く性への欲望。 彼女を看取る姉カーリン(チューリン)と妹マリア(ウルマン)には、結婚して家族があり、どちらも関係は崩壊しています。 忍耐の限界を迎える姉、欲望を抑えられない妹、一言では語りつくせない内面の炎が、チラチラと燃え、メラメラと燃え。 時折、絵画のように美しい粛然としたシーンに心休ませても、すぐ後にあるのは再びおぞまじき人の心。 邸宅の壁の赤と、真っ赤にフェードアウトする映像は、いやでもラストまで落ち着きを得られませんでした。 姉妹を頼り信じていたのは、孤独なアグネスだけ。 残された姉妹に、いとも簡単に引き裂かれる信頼・・・その悲痛さ。 タイトルどおり、魂の限りに叫ぶシーンは、あまりの迫力に圧倒されるばかりでした。 そしてもう一人。次女を優しく包む家政婦アンナ(カリ・シルヴァン)の存在があります。 豊満な肉体で、姉妹たちが受け入れず注がない愛を与え、優しく包み込むアンナの迫力は美しいといえるほど。絵画のようなカットに惹かれます。 死んだアグネスが蘇るシーンは、驚きと同時に当然とも思えてきます。真相がこれでは死に切れない。化けて出ておかしくないほどの仕打ち。 おぞまじい利己、憎しみ、偽り。どれも並みの感情ではなくて、痛く重苦しい作品でしたが、面白かった。 監督・脚本 イングマール・ベルイマン 撮影 スヴェン・ニクヴィスト 出演 イングリッド・チューリン ハリエット・アンデルセン リヴ・ウルマン カリ・シルヴァン (カラー/91分/スウェーデン製作/VISKNINGAR OCH ROP) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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