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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:イタリア映画
「ベニスに死す」「地獄に堕ちた勇者ども」ですっかり虜になったヴィスコンティ。 あれから幾作品か観てきましたが、この二作を超えるものには巡り会えません。 意識しなければ、とても50年代の映画とは思えない豪華な大作でした。 (あらすじ)1866年、オーストリア軍占領下のヴェネツィア。劇場で将校マラー(ファリー・グレンジャー)と、反占領軍運動の指導者ウッソーニ侯爵の間に口論が起こる。ウッソーニは捕らえられ一年の流刑に処せられるが、居合わせた彼の従姉リヴィア伯爵夫人(アリダ・ヴァリ)は、青年将校マラーの魅力の虜になってしまうのだった・・・。 燃えるような恋を知らない淑女が、若い将校に夢中になり変貌してゆく様を、情熱的に描いています。激しい想いが痛々しい。 原題の「SENSO」は官能という意味なのですが、すこし違う印象です。 絵に描いたような情熱的なはじまりから、早々に裏切りが見え隠れする展開はメロドラマ。 「あなたを信じられない」そういいながらも盲目になって突っ走るリヴィアに、イタイものを感じる。同じ女性として、でも同情の余地はない。 結局、若いツバメに捨てられた淑女は、極限まで乱れて密告という姑息な手段を使ってしまいます。愛人の死をもって愛が終わります・・・・。 夢中になれなかったのは、なぜでしょうか。 マラーもリヴィアも、魅力的に映らず、2時間を長く感じました。 夢のように甘美さに酔う、後の作品群とはまた違った表現でブルジョアの失墜を描いた作品。 戦争による背景が色々にあっても、これはラブロマンス。未成熟なふたりの恋愛はまさに見せかけで虚しい。自分がしたくないことだからこそ、批判的な見方になってしまうのかも。 原作は19世紀末の短編小説。文芸作品の趣が十分に感じられる作品でした。 こちらも死ぬまでに観たい映画1001本に選ばれています。 監督 ルキノ・ヴィスコンティ 原作 カミッロ・ボイト 脚本 S・C・ダミーコ ルキノ・ヴィスコンティ 撮影 G・R・アルド ロバート・クラスカー 出演 アリダ・ヴァリ ファーリー・グレンジャー マッシモ・ジロッティ ハイツ・モーグ リナ・モレリ (カラー/117分/SENSO/イタリア製作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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