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行きかふ人も又

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2008.02.24
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カテゴリ:スウェーデン映画

 (あらすじ)中世のバラードを題材に、中世的情念の世界を描く。
ある日、豪農の娘カリンが教会に行く途中、森の中で3人の浮浪者に出会い、辱められ撲殺されてしまう。
屋敷に泊めた3人が彼らと知った父親テーレは復讐を遂げる――――。



 豪農の夫(シドー)と敬虔な妻は、修道士の男や多くの使用人たちと豊かに暮らしています。
夫婦には年頃の美しい一人娘(ペテルソン)がいて、甘やかしながら慈しみ大切に育ててきました。
ある日曜日、遠い地にある教会へ蝋燭を届けにゆくことになったカリンは、お供に、養女インゲリ(リンドブロム)を伴って、笑顔で出かけて行きます。
インゲリは身重で、出産間近なお腹を抱え、一日中汚れまみれになって働いている、カリンとは正反対の娘。
子の父親はどこの誰とも言わず、望まぬ妊娠を憎み、同じくらい美しい世間知らずなカリンを憎んでいるのでした。
ついに憎悪に耐え切れなくなったインゲリは、同行を拒絶し、カリンひとりで薄暗い森を進ませるのです。

森で3人の浮浪者に出会ったカリンは、疑いもなく誘われるままに男たちに付いて行き、まんまと手篭めにされてしまうのでした。失意の果てに殺されてしまう。
それを物陰から偶然に見ていたインゲリは、止めに入らねばならないと思うのに、日ごろの憎しみがそれを許さず、黙って息を殺ずばかり・・・・


virgin_spring.jpg  pramen_panny3.jpg



登場人物みんなが、生まれてから身についてきた言動を繰り広げていくだけなのに、それがすべて、なるべくして悲劇へと向かっていきます。
誰にも止められません。
カリンを助けることができなかったインゲリにさえ、複雑で強い理由がある。
すべてが、神の御業といわんばかりの自然な演出が印象に残ります。


日曜日、子羊、最後の晩餐を思わせる食事シーン、天使のようなカリン・・・・。
たくさんの暗喩を感じさせる物々は、確実に意識して配置されています。
絵画のように額取られて見えるシーンもあり、底にあるのはキリスト教の世界そのもの。
様々なものを飲み込んで拡がったキリスト教が、いまこうして敬虔に眼前に現れても、見方を変えることはできませんが、純粋な信仰心は普遍です。
そんな思いが湧き水とともに心に満ちる、小品ながら良い作品でした。



      †   †   †


監督  イングマール・ベルイマン
原作・脚本  ウルラ・イザクソン
撮影  スヴェン・ニクヴィスト
音楽  エリック・ノードグレーン
出演  マックス・フォン・シドー  ビルギッタ・ペテルスン  グンネル・リンドブロム  ビルギッタ・ヴァルベルイ

(モノクロ/90分/スウェーデン製作/JUNGFRUKALLAN)









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Last updated  2010.08.18 16:15:43
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