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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
(あらすじ) 母になり、沢山子どもを産むのが夢だったアビバは、12歳になった頃、両親の友人の息子ジュダと関係を持ち妊娠する。 それを知った両親はショックを受け、いやがるアビバをむりやり病院に連れて行き中絶手術させるが、母になる夢を諦めきれないアビバは、ついに家を出るのだった―――。 なんて映画だろう。悪質と例えた人の気持ちが、わかりました。監督と相性が悪いのでしょうか。 12歳で妊娠、中絶、家出したアビバを、8人の女の子が演じています。 人種も年齢も体系も違うアビバは、外見は変われども、物語ではたったひとりの女の子で、幸せを求めてささやかな旅をします。 彼女が思う幸せは、子どもを産み母親になること。幸せになれる裏づけなど、なにひとつないのに、ひたすら求めています。 彼女の母だって、アビバが産まれて母親になったけれど、決して幸せそうじゃない。だというのに求めているのは、なぜだろう。 それは、監督がいうには、絶対的な安らぎが得られる居場所を持つことに他ならないから、だそうだ。 でも私はそういう考え、虫唾が走るほどイヤだから、この作品を好意的に観ることはできません。 アビバと母親(バーキン) アビバが恋した中年男、彼も病んでいる 考えもなくセックスして妊娠した12歳のアビバ。 産みたいとはいっても、希望ばかりで、現実を受け止めたりはできません。 結局、両親の説得で、名医による中絶手術が行われますが、オペ中、まだ薄い子宮の膜に傷がつき出血多量で子宮を摘出されてしまうのです。 二度と子どもを産めなくなった12歳の少女は、家出して、さまよった挙句に、障害児たちを養子にしている“サンシャイン・ホーム”に辿り着きます。 “サンシャイン・ホーム”へ。右が幾人目かが演じるアビバ 登場する人物ほとんどの人々が、体になんらかの特徴を持っていました。 肥満体の人物が多く、障害を持った子どもたちや、脇の俳優たちさえ何処か異質さがあります。 ソロンズ監督自身も、一風変わった人物のようですが、コンプレックスを作品にぶつけているようで、見た目で判断する私たちの嫌な部分を、わざと刺激してきます。 嫌悪感を抱く自分に嫌悪する。 それは『フリークス』を思い出させるけれど、肉体的な特徴を有利に利用した抉るような快作とは全く違った、いやらしさを感じてしまいました。 人物名でつけられたサブタイトルは、これでもかと言うほど乙女チック。物語りも御伽噺の風体です。 現実とは思えない12歳の夢と行動と恋と出会いには似合っているけれど、かといって、御伽噺だからありだと、この作品を肯定してしまうのはイヤでした。 言動は酷く醜くく、中身のないことばかり。 中絶反対派の監督で、その一点が言いたいだけなのかと、一瞬思う。 実際は、悲しすぎるほど頼りない、少女の純粋な願いを描いているのでしょうけれど。 “サンシャイン・ホーム”であった、個性溢れる面々との出会いは、幼いなりにも彼女を成長させたでしょうか。 夢のような“サンシャイン・ホーム”での日々が、プラスになもならない、殺人を起こすだけの代物なら、悪質な映画といわれても仕方ないと思います。 そして、最後にいたっても変わらずセックスに辿りつくアビバと友人ジュダに、ただただ虚しく悲しくなるのでした。 原題の『PALINDROMES』は回文という意だそうです。 前から読んでも後ろから読んでも同じ言葉。終わらず続いていく、変わらない愚かな行為、そんなニュアンスがあるのでしょうか。 監督・脚本 トッド・ソロンズ 製作 デリッック・ツェン マイク・S・ライアン 音楽 ネイサン・ラーソン 出演 エレン・バーキン スティーヴン・アドリー=ギアギス リチャード・メイサー ジェニファー・ジェイソン・リー (カラー/100分/アメリカ製作/PALINDROMES) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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