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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
朝鮮戦争の野戦病院に、人手不足から二人の医師が補充された。ところがこの医師たち、軍規を無視して、女性将校をからかったり、ゴルフに夢中になったりやりたい放題で・・・。 戦争を風刺した超ブラックコメディの佳作。 珍しい、朝鮮戦争を舞台にした作品。 半島を舞台にした、とびきりシュールな戦争映画です。 この頃、終戦から5年経った日本は復興が進んでいたのでしょう。時折ラジオから流れるは日本の歌謡曲。 延々可笑しなムードに包まれて暴走する、野戦病院の面々―――。 朝鮮戦争の知識はありませんが、きっとこの戦争でなくても良かったのでしょう。いかなる戦争にも共通した、不条理の上に成り立つ狂気をシニカルに描きます。 愚かで憎めない人間の性。馬鹿げた毎日。 血みどろの患者と日々格闘していれば、誰だって緊張のほぐれる時間が必要です。 物資の不足に、家族との別離、フラストレーションをいっぱいに抱えた彼らが、行き過ぎの暴走を始めても、批判よりは苦笑して見守りたい気持ち。 女性をからかうシーンだけは、今の時代、多少問題あるでしょうが、製作年を考慮に入れれば受け流せます。 当然、数少ない女が男たちの標的になるとしても、女性も同じように男を求めている描きかたなのは、さっぱり後腐れがありません。 かなり強引な、めでたしめでたし映画だとしても。 主人公の医者3人を演じたのは、ドナルド・サザーランド、エリオット・グールド、トム・スケリット。 それぞれに癖のある名演でした。 なかでもホークアイ役を演じたサザーランドは光っています。 どんなにだらしなく悪ふざけが過ぎても、医者としてそれなりにきちんとやっている三人は、ちゃらんぽらん故に数倍好印象で、そんなところも巧いと感じます。 一日たりとも、ここに居たいとは思わないけれど! 実際の戦場とはかけ離れているであろう設定も、コメディであるからこそ許容できます。 スピーカーから流れる業務連絡は、逐一ふざけた風刺がこめられていて面白い。 信心深い同僚の医者が、ホモである件も面白かった! 死にたいと言って“最後の晩餐”ごっこを始めるなんて、戦場でおいおい・・と思いつつ、とことんブラックなユーモアがすべてをプラスに変えて、一方的に映画は終わっていくのです。 呆気にとられつつ、最後までムードに押され騙され、酷い箇所も許せてしまいました。 後半のアメフトシーンは長すぎるほどでしたが、国で一番に愛されるスポーツを盛り込みたかったのでしょうか。 ちょっと長すぎでした。 死ぬまでに観たい映画1001本に選ばれています。 監督 ロバート・アルトマン 製作 インゴー・プレミンジャー レオン・エリクセン 脚本 リング・ランドナー・JR. 原作 リチャード・フッカー 撮影 ハロルド・E・スタイン 音楽 ジョニー・マンデル 出演 ドナルド・サザーランド エリオット・グールド サリー・ケラーマン ロバート・デュバル フレッド・ウィリアムソン トム・スケリット (カラー/116分/アメリカ製作/MASH) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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