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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
1930年製作。マレーネ・ディートリッヒは『情婦』の印象が未だに強いですが、名女優であることを実感する名作。 みなぎる強さと、儚げに微笑む口元。張り詰めた気持ちを解いたとたんに、崩れ落ちる気丈さ。そして美しい。 幾つもの恋をしてきた、外人部隊の色事師トムと酒場の歌手アミーは、モロッコで出会いひと目で恋に落ちる。しかし、浮気心を知ったトムの情婦が、彼を暗殺しようとして失敗。この一件でトムはサハラの前線に送られることとなるのだが・・・。 愛する人に出会っても、別れを重ねてきた二人は臆病で、深入りすることができません。最後の最後に逃げ出してしまう。 命がけで戦地へ向かうトムは、彼女にさよならを告げるしかなく、失意のアミーはフランスの富豪ベシス氏の求婚を承諾してしまうのです。 このさよならの仕方が洒落ていますね~。 アミーの楽屋の鏡に口紅で「気が変わった。元気で」そう残して立ち去るのです。 後の映画にも脈々と受け継がれる‘鏡&口紅’。これはこの作品が始まりでしょうか。年代を考えるとそうかもしれませんね。 この台詞、Changed mindは、後半アミーの台詞にも繋がっていくのが粋です。 バーで再会し、トムが「あの富豪と結婚するのか」と聞くと、アミーは答えます。 「I don't change my mind」 傷つけられた言葉でかえす、ささやかなあてつけ。ふたりはまた素直になれず別れを選んでしまうのです。 ラスト、この愛こそ失いたくない本物だと気づいたアミーが、意を決して選ぶ道は、砂漠のように壮大な恋慕と、浪漫でいっぱい。 兵隊たちの後を追いかける現地の女に混じって、ヒールを脱ぎ捨て、砂漠の中を追いかけていく気丈な後姿!最高に格好いい女の後姿がありました。 モロッコということもあり、全体がエキゾチックなムード。音楽もそう、恋もそう。 その中で、一級の美男美女が繰り広げる恋愛模様はとても好みで、好きな一本となりました。 アドルフ・マンジュー演じる、アミーにほれ込んだ富豪の台詞も印象的。 「願いは愛する人の幸せ」 こんなキザで無償の愛を与える大富豪に愛されて、アミーは幸せですね~。 冒頭で歌声を披露する妖艶なマレーネ・ディートリッヒも見所。男たちを一瞬で虜にする美しさです。 男装して煙草を燻らし、次には大胆な脚線美を披露しています。 歌があまりうまくないのはご愛嬌。 監督 ジョセフ・フォン・スタンバーグ 原作 ベノ・ヴィグニー 脚本 ジュールス・ファースマン 撮影 リー・ガームス 出演 ゲイリー・クーパー アドルフ・マンジュー マレーネ・ディートリッヒ ウルリッヒ・ハウプト (モノクロ/92分/MOROCCO) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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