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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:アメリカ映画
CGの氾濫する昨今ではなかなか創ることのできなくなった、骨太なパニックムービー。 大好きな映画、1972年の『ポセイドン・アドベンチャー』で製作をしていたアーウィン・アレンが共同監督を務めている。 地上135階、シスコにそびえ立つ超高層ビル“グラス・タワー”落成式の日。工費削減のため規格外の製品を使ったために起きた出火は、やがて巨大な炎となり、最上階に大勢を閉じ込めたままビルを飲み込む――― 9.11事件で崩れ落ちたNYのワールドトレードセンターは110階。目下建設中で世界一高い建物となる予定のブルジュ・ドバイは162階になる予想だという。 製作から30年以上経った今も、高層ビルの増殖する社会に、同じように警鐘を鳴らしてくれる。 もしも・・・を考えさせてくれる作品だ。 現在のタワーは、当然ありとあらゆる非常事態を考えて、最新の設備を備えているはずだれど、9.11事件の時、運良く助かった人々の中には、何十階という高所から自分の足を使って地上へ降り、逃げ延びた人も多かったという。人生なにが起こるかわからない。 名優揃いで、骨太で、手抜きのない迫真の映像と演技の数々は、噂に聞くとおりの佳作でした。 名優スティーヴ・マックィーン、色気と存在感抜群のフェイ・ダナウェイ、あのO・J・シンプソンや、フレッド・アステアも出演している。 今年亡くなった名優ポール・ニューマンは、誠実な設計者を、さすがという熱演で演じていた。 息を呑む恐怖の数々、よくぞこれだけの撮影ができたもの。 この手のパニックムービーはやはりアメリカが秀でている。 一部の人間たちが犯した罪が、やがて小さな火を噴き、大きな炎へと姿を変えて、すべてを飲み込んでいく―――。 巨大なタワーに、少しずつ少しずつ広がる火は、危機感に時差をうむ、怖いものだと思う。 現代文明は間違ったほうへ進んではいまいか、そんな示唆も与えているようだ。 監督 ジョン・ギラーミン アーウィン・アレン 製作 アーウィン・アレン 脚本 スターリング・シリファント 音楽 ジョン・ウィリアムズ 出演 スティーヴ・マックィーン ポール・ニューマン ウィリアム・ホールデン フェイ・ダナウェイ (カラー/165分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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