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カテゴリ:スウェーデン映画
CF界の巨匠ロイ・アンダーソンが描く不条理ムービー。 とある惑星のとある場所。サラリーマンは突然リストラされ泣きわめく。道に迷った男は訳もなく殴られる。マジシャンは人体切断のマジックに失敗して男を本当に切り刻んでしまう。そんな中、主人公は保険金目当てに自分の経営する家具屋に火を付けるが―――。 構想に20年、撮影に4年を費やしたというから、脚本はよく練られ、深い意味も込められているんでしょう。 それに気づけないで傍観していると、けっきょく煮ても焼いても食えない作品だったなぁと、味気ない感想しか浮かばなくなってしまった。 超ど級の不条理がいいたいことは、いったいなんだったか。 デモをする人々であふれた街は、不穏な空気でいっぱい。 どこまでも灰色に覆いつくされた街は、これから終焉を迎えるみたいに、逃げ惑い、あらゆる希望を失った人々で溢れかえっている。 演じている人々はほとんどが素人で、脱力系の演技は自然でとてもよかった。 そんな街で主人公は、絶望から保険金目当ての放火をする。 ところが証書まで燃やしてしまって、保険金は支払われずに無一文、ただただ何もかも失ってしまう。 タクシードライバーだった優しい長男は心を病んで入院。次男がその跡を継ぐも、彼もまた、延々と客がこぼす愚痴を聞く毎日に疲れ果てていく―――。 CFを手がけてきた監督らしく、デモ行進の徘徊するシーンや、少女を生け贄に捧げるシーンなど視覚的インパクトが多彩だった。 血はよく流れるけれど、ブラックなユーモアが、痛みも苦しみも引き取ってくれて、あちら側の不幸に害されることはない。 でもそれでいいのかといえば、もっと映画と一体になって楽しみたかった気もする。 すっかり最後まで傍観するばかりだった。 長回しや、固定されたアングルが印象的なカメラは、眠気を誘う。 でもずっと灰色で不安だから、心地よい眠りに落ちれるわけもなく・・・悪夢のような夢うつつ。 キリストの磔刑像が、この一大事になんの役にも立たないものとして放り出されるラストシーンが印象的だった。 主人公を付け回す、アウシュビッツで命を落とした少年の亡霊や、たくさんの亡者たちにどんな意味があったのかわからなかったけれど、それを感じれる方には、なるほどだったのかもしれない。 監督・脚本 ロイ・アンダーソン 製作 フィリップ・ボベール 音楽 ベニー・アンダーソン 出演 ラース・ノルド シュテファン・ラーソン ルチオ・ヴチーナ (カラー/98分/スウェーデン=フランス合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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