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行きかふ人も又

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2009.05.07
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カテゴリ:アメリカ映画
 子供の死のショックから立ち直れずにいる、旅行ガイドブックのライターをする主人公ラリー(ハート)。
妻サラ(ターナー)との別居などを経て、やがてペットショップの訓練師と、新しい恋に落ちていく様子を丁寧に描く―――。



 脚本が素晴らしい。
随所にクスクスと笑えるシーンを織り交ぜながら、主演三人の味わいある演技が心地よい。
新しい恋の始まり、新しい人生の回り出す音が聞こえてくるような、絶妙なテンポのある良作でした。

強盗事件に巻き込まれ、息子を失った夫婦の、別居から物語は始まります。
人生を守りに徹してきた不器用な夫は、妻と悲しみを分かち合うこともせず、孤独を抱えた妻サラは、ついに別居を言い渡すのでした。

大きな喪失から始まるけれども、物語は確実に再生へと向かっている。
旅行がちなラリーが出会った、ペットショップ店員のミュリエル(デイヴィス)は、快活で風変わりな美人さん。
彼女から積極的にアプローチして、いつしか付き合うようになる二人でしたが、型物のラリーはいつまでも優柔不断なまま、新しい人生を踏み出すことができずに、妻とミュリエルの間で揺れ動くのでした、、、。

なにより面白かったのは、ラリーの実家の人々。
妹や兄たちが繰り広げる日常には、とびきり変わったヘンテコなルールが横行しているのです。
それでも一家にとっては、それが常、それが平常。まさかおかしいだなんて、思ってもいない。
ちょっとはみ出しちゃってる人生にある、豊かさとユーモアの妙味。
ちょっとはみ出しちゃってる人たちの、不器用だけど素直な気持ちが愛おしい。

ミュリエルがラリーに恋した瞬間や、妻と恋人のどちらと生きるかをラリーが決めた瞬間、それがわかりにくいのだけが残念だった。
この微妙なニュアンスまで伝わったら、それこそ非のうちどころない秀作になっていたかもしれません。





監督  ローレンス・カスダン
原作  アン・タイラー
脚本  ローレンス・カスダン  フランク・ガラチ
音楽  ジョン・ウィリアムズ
出演  ウィリアム・ハート  ジーナ・デイヴィス  キャスリーン・ターナー

(カラー/121分)








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Last updated  2009.05.09 02:05:03
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