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カテゴリ:イギリス映画
マイケル・ジャyクソン死去。今朝の訃報に驚いてしまいました。 数日かけてこの映画を観ていた矢先です。 『ガンモ』で一躍有名になったハーモニー・コリン監督による、久しぶりの新作。 マイケルのダンスや仕草、そういったものを思い出しながら観ていたぶん、よけいにショックでした。 《あらすじ》 幼い頃から自分に対する違和感を抱え、いつしかマイケル・ジャクソンを演じることで、ようやく生きていられる、不器用な青年マイケル(ルナ)。 仕事のモノマネ以外でも、常にマイケル・ジャクソンになりきりパリに暮らす彼は、ある時、老人ホームでの仕事で、マリリン・モンローとして生きる美女(モ-トン)と出会い、恋に落ちる。 彼女は夫のチャップリン(ドニ・ラヴァン)と7歳の娘シャーリー・テンプルと一緒に、スコットランドの古城でモノマネ芸人たちと共同生活を送っていた。 マリリンに誘われるまま、スコットランドへと向かったマイケルは、仲間とともに地上最大のショーの上演を目標に暮らし始めるのだが―――。 色んな切なさや悲しさを内包している作品でした。 映画のなかのどもかしこにも、悲しさは潜んでいて、ともすると切なくて蹲ってしまいそうな、そんな作品。 自分が何者かわからず、他人になりきってでないと生きていけない主人公は、たくさん不器用で、優しくて純粋。弱いのじゃなく、人一倍繊細なのでした。 白くて線の細い、憂いだ瞳のマイケルが恋したマリリンは人妻。しかし互いの孤独を理解しあって、濃密な素敵な時間が流れていきます。 スコットランドの古城には、マドンナ、ヨハネ=パウロ二世、ジェームス・ディーン、エリザベス女王、赤ずきんちゃん・・・などなど名だたる有名人?(のニセモノ)が、地上最大のショーを夢見て暮らしています。 小さな村でひっそりと、自分を理解してくれる楽園で。 しかし、穏やかな日々はいつまでも続きませんでした。 羊に伝染病が発生して、全頭を処分することになり、人一倍感じやすいマリリンは、それが原因で落ち込みがちになってしまうのです。 羊の一件や、物語に直接かんけいのない、ある修道女に起こった奇蹟は、まるで信仰を嘲笑するよう。 まっさらな心で生きても、未来が明るいとはいえません。マリリンのように純粋に生きても、この世は厳しくて過酷で、失望したり傷つかずには暮らしていけません。 奇蹟は絵空事―――。 ショーは成功するけれど、それを楽しみ理解してくれる人は、古城に閉じこもった今のみんなのままでは、現れるはずないのです。 マリリンの弱さが悲しい。 夫のチャップリンが、時々ヒトラーになろうとも、彼女は従うし流されるだけだった。弱さで命まで縮めてしまって、、、。 同じく純粋でも、彼女よりずっと強かったマイケルは、辛さを乗り越え本当の自分自身を見つけられたのでしょう。 パリに戻ったマイケルが、街を歩くラスト近くのシーンが好きです。 たとえ不安げであっても、自分を取り戻した彼からは、新しいなにかが始まるはず。 冒頭から流れるボビー・ヴィントンの「ミスター・ロンリー」がいい。 もともと好きな曲でしたが、歌詞や物語と合わさってさらに切なく、本作にぴったりです。 懐かしい感じのドニ・ラヴァンや、豊満になった?サマンサ・モートンの好演が光ります。もちろんディエゴ・ルナも。 ヘルツォーク、レオス・カラックスといった監督陣を起用したのも面白いところ。 ぬいぐるみと一緒のマイケルが、ちっちゃなバイクでサーキットを疾走するオープニングとエンディングが最高にシュールです。 監督 ハーモニー・コリン 脚本 ハーモニー・コリン アヴィ・コーリン 音楽 ジェイソン・スペースマン ザ・サン・シティ・ガールズ 出演 ディエゴ・ルナ サマンサ・モートン ドニ・ラヴァン ヴェルナー・ヘルツォーク レオス・カラックス (カラー/111分/イギリス=フランス合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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