2223476 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

行きかふ人も又

行きかふ人も又

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Freepage List

Free Space

ゆるい分室はじめました
dekunotato.exblog.jp

Archives

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07
2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02

Category

Calendar

Comments

森須もりん@ Re:【夜行列車(POCIAG)】 1959年 ポーランド映画(03/10) 小学生のときに、テレビでみました。 あれ…
ETCマンツーマン英会話@ 希望を生むもの はじめまして。先日初めて『アラバマ物語…

Favorite Blog

Kabu + Plus エースNo1さん
ある日どこかで リラ11さん
ベティ333のブログ ベティ333さん
でくの坊 雨にも … なんぜんたろうさん
My 映画 on TV 日記 タケ88フミさん
2009.07.15
XML
カテゴリ:映画

image6_1183583202.jpg

 
 愛のない生活と介護に疲れ、自分を解放することなく抑圧だらけの人生を歩んできたマリアが、壊れながらも新しく生まれ変わっていく姿を描く―――。回想シーンを織り交ぜて綴られたサスペンスです。

主人公マリアは、聖母マリアに掛けられた名前。彼女を生んだ後、母親はすぐに亡くなり、父親とふたりきりで育った家に、今は寝たきりとなった父と、型物の夫との三人で暮らしています。
人間生まれ変わるには、死ぬほどの苦しみが必要だというけれど、まさしくその苦しみが描かれていく。
デビュー作にして、この視点。20代でこの原案を思いつき映画にしようと考えたティクヴァ監督は、やはりすごい人だと思えてしょうがないです。

02.jpg 21209_article.jpg 


疲れ切った生活の中で、窓から見える隣の男と見つめ合うようになるマリアは、男に救いを見出し、誘われるまま男の家を訪れるのです。
そこは趣味で集められた膨大な書物に囲まれた異空間で、マリアにとってはなにもかもが新しい。
(私的にはこの部屋、ヘンリー・ダーガーを思い出しニンマリでした) 

戸惑いながらも言葉を交わすうち、マリアは生まれて初めて、自分の人生を第三者の目から確認するのです。慄いたマリアは男の家を飛び出し、衝動的に自宅の戸棚を壊します―――!
そこには、子どものころから時々、大切な人形へ宛て認めた手紙が、無数に隠されていました。
繰り返し、繰り返し・・・何十年にも渡って綴られてきた何百通にも及ぶ思い。時を経て開封してみるマリアには、忘れていた少女のころの思い出や痛みが蘇ります。
それは解放とアイデンティティを求めて、大きな変化を遂げていく序章の始まりなのでした―――。

マリアのように生きるなんて、同じ女としては辛すぎる、、。
変わり始めたマリアのことを、だから心底応援してしまうけれど、簡単になにもかも上手くいくはずはありません。
抑圧された時は長すぎて、変わる為の犠牲があまりにも大きいのです。悲劇は必然で、ティクヴァ監督らしいグロイシーンを交えつつ、新しい恋との狭間で壊れていくマリアは怖い、、、。


やはりキエシロフスキ作品に似た雰囲気があります。真似ではなく視点や描き方が。
まるで『デカローグ』の長い一篇を観ているかのようでした。時間を忘れるほど集中しました。
アンナと隣家の男が惹かれあう様は魅力。後の作品でも、ティクヴァ監督が描く男女はいつも素敵です。
恋の相手となる男性を演じる役者の雰囲気が、どことなく毎回似ているのは、監督が自身のシャドーを投影したりしているのかしら。

写真(下右)でアンナが持っているのは、幼いころ伯母さんに貰った大切なお人形。
孤独な彼女にとっては、友達代わりであり、愚痴を聞いてくれる相手でした。まるで命を吹き込まれたかのように、アンナと一心同体していく様が見事です。
幻覚に苦しみながら突如彼女が産み落としたのは、紛れもなく新しい自分自身にほかありません。
その時の人形の在り方が、とてもいいのです。そのフォルムも。

劇的な最後、希望を失わせない絶妙なニュアンスのラストに、ホッとしました。
男がしっかりとマリアを抱きとめてくれて良かった。



●  ●  ●  ●



監督/ トム・ティクヴァ
製作/ シュテファン・アルント  トム・ティクヴァ
脚本/ トム・ティクヴァ  クリスティアーヌ・ヴォス
撮影/ フランク・グリーベ
音楽/ クラウス・ガーターニヒ  トム・ティクヴァ
出演/ ニナ・ペトリ  カーチャ・シュトゥット  ヨーゼフ・ビアビヒラー  ペーター・フランケ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2013.11.06 20:54:56
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X