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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
闇市の蔓延する自由のない80年代後半のルーマニア。学生のオティリアとルームメイトのガビツァは落ち着かない。きょうは、望まない妊娠をしたガビツァの、堕胎手術当日なのだ。 しかし、違法であることも危険を孕むことも、まるで実感していないようなガビツァの言動が、すべての予定を狂わせてしまう・・・。 ガビツァの態度には、ほんとうに腹が立った。 中絶についてなにも言う権利はないけれど、責任は、相手の男(一切登場しない)だけでなく、彼女にも十分にあるはずなのに。 自分を守るばかりの沢山の嘘をついて、奔走するオティリアの献身的な親切を踏みにじり続けていく。 堕胎手術を引き受けた男・ベベは、保身と見返りを当然のごとく要求する。 シビアにリアリティもって描かれる、たった一日の物語は、一言でいえば“ 嫌悪感でいっぱいのお話 ”なのだけど、目が離せなくなる独特な強い引きがあった。 資金を用立てるためオティリアは、ガビツァの代わりに、恋人にお金を借りる。 友人の妊娠を間近に見て、オティリアと恋人の間もギクシャクしてしまう。(ここで大事なのは、当時ルーマニアでは避妊が禁止されていた、とうことだ) 明るい展開が待っているなんていう希望もなく、選択肢のない限定された時代背景のあってこそのドラマだった。 なぜ今この時代にこの映画? と思わなくもないが、国柄や社会的な背景を描きこんだ結果の良作なのかもしれない。 ちなみに、日本でガビツァみたいな娘がいたら、友達はできない気がするけど・・・。 オティリアがどうしてそこまでするのか、、理解しがたい部分も多々あるものの、目を逸らさせない演出は流石にすごい。 カンヌで最高賞のパルムドールを受賞していますが、まさしくカンヌで評価されるタイプの作品になってます。 社会派であり、役者がいい。 『ロゼッタ』『ある子供』で二度パルムドールを受賞しているダルデンヌ兄弟監督に、似た雰囲気を持つ作品に思われた。 ● ● ● ● 監督・脚本 クリスティアン・ムンジウ 製作 オレグ・ムトゥ クリスティアン・ムンジウ 撮影 オレグ・ムトゥ 出演 アナマリア・マリンカ ローラ・ヴァシリウ ヴラド・イヴァノフ (カラー/113分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.25 14:28:07
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