|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:映画
音楽映画は数あれど、心から聴かせてくれる心地良い作品は、それほど多くはないはず。 私的にとてもフィーリングの合う作品だった。 40がらみの主人公は、母親の死をきっかけに、ひとり暮らしの父親の元に戻り一緒に暮らしていた。ストリートで歌いながら、歌手になることを夢見て。 そこに、もう一人の主人公、ビッグイシューを抱えた貧しい移民の娘が、彼の歌に導かれるように現れる。これがふたりの出会い。 お互いに今はしがない暮らしでも、音楽の才能は息づいている。男の夢、イギリスでのデビューに向けて、ふたりは動き出す。 ストリートで見つけた名もなき奏者たちも加わって、最高のデモテープが完成されていくのだった――。 短尺の微笑ましい小品で、ふたりの演奏が素敵なのも好感持てる。男を演じたグレン・ハンサードは本業が歌手で、すごくいい声だ。 彼には忘れられない人がいる。ワケありの貧乏生活をしている娘にも、遠くで暮らす夫がいる。 それでも人は恋をする。 この恋愛に関しては、二人ともに自制心あることがさらに好感度が呼ぶのだろうか。 ついつい「泊まってく?」と声を掛けてしまった男に、素直に怒る娘。ふいに泣き出した彼女を、ただ抱きしめてあげる男。心が通じ合った後さえ、二人きりで会うことは叶わない。 けして過ちを犯さないプラトニックなままのふたりには、確実に新たな人生が見え始めて、それが幸福へ向っていることを観客は感じる、そんな希望のあるラストだ。 本作に音楽がなければ『恋人までの距離』か。なんとなく大好きなこの映画を思い出した。 そしてラストでは、こちらも大好きな『シャンドライの恋』をふと思い出してしまう。オマージュかもしれない。 監督・脚本/ ジョン・カーニー 出演/ グレン・ハンサード マルケタ・イルグロヴァ ヒュー・ウォルシュ (カラー/87分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.03.07 21:01:47
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|