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行きかふ人も又

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2009.09.08
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カテゴリ:映画
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 『ホルテンさんのはじめての冒険』がじんわり素敵な後味だった、ベント・ハーメル監督作品。
こちらも、ほのぼのとあったかく、時に哀愁を感じさせながら綴る良質な小品でした。

 1950年代初頭のスウェーデン。キッチンの近代化を図るため、使う人の行動パターンを知る様々な調査が“家庭研究所”によって行われていた。
つぎの調査は、ノルウェーに住む独身男性を対象にしたものだ。
被験者となった初老の男性イザックの家にも、中年の調査員フォルケが派遣されてきて、「台所での行動パターン調査」は開始されるのだったが、、イザックは不信感と敵対心を募らせていく―――。

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会話を交わしてはならい規則に従い、真面目なフォルケはひたすら調査表と被験者をにらめっこ。
反撥したいイザックは、キッチンで料理を作らないボイコット。
ギクシャクしているふたりが、少しずつ会話を交わしはじめ、いつしか誕生日を祝い、酒を酌み交わすまでになっていく様を、ユーモラスに描きます。

人は誰かと繋がり合いたいと常に願っている。そうでなければ人生の孤独には耐えられないからだ。
イザックとフォルケにとっては、黄昏時に出会った気の合うお互いが、かけがえのない理解者になっていく。

いつも高みから、素朴なイザックの生活を眺めているフォルケ。彼を訪ねてくるのは、唯一、愛車のトラクターに乗った変な友人だけ。
コーヒーを飲んで、おしゃべりをして、ただ帰る。なんの変化もおきない毎日だ。
しかし、イザックの平穏な日々は、調査台とトレーラーハウスを行き来するだけのフォルケ自身によって、気づかないうちに変化をみせていくのだった―――。

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中盤、仲良くなっていくふたりに、イザックの友達が嫉妬心を募らせていく件がおもしろい。
思いあまった彼は、フォルケの寝床のトレーラーハウスを、トラックでこっそり運び出す。真夜中、そして線路上に置き去りにする・・・!
「・・消す!」
そんな彼の心の叫びが聞こえるよう(笑)
すんでのところでイザックに助けられたフォルケだが、そんなことは露知らず、、。なんともシューール!


常に人生の先には「死」がある、そんな会話も、イザックの愛馬が重い病気に罹っているらしいことも、ラストへの伏線となっていった。
出会いによって人生が変わった人たち。人と繋がったことで、新しい何かを発見した人たち。
『ホルテンさんのはじめての冒険』でもそうだったように、人生の変化に遅いも早いもないのだなぁとあらためて思う。
幾つになっても変われるし、自分らしくあることが素晴らしいし、「限りがある」ことを知ってなければ大切にできない事があるのだ。

ユーモアの後ろにこっそりと、胸の芯まで響くような切なさを用意しているベント・ハーメル作品に脱帽です。
評判どおり、すごくよかった。
じんわりじんわり、いつまでも残ってく感動。北欧らしいぬくもり。



●  ●  ●  ●



監督/ ベント・ハーメル
製作・脚本/ ベント・ハーメル  ヨルゲン・ベリマルク
撮影/ フィリップ・オガールド
音楽/ ハンス・マティーセン
出演/ ヨアキム・カルメイヤー  トーマス・ノールシュトローム  ビョルン・フローバルグ

(カラー/95分/ノルウェー=スウェーデン合作)







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Last updated  2016.02.11 15:57:28
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