|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フィンランド映画
カウリスマキ作品の主人公たちは、なぜにこれほど情けないのだろう(笑) 敗者三部作といわれるのは『浮き雲』『過去のない男』『街のあかり』なのだけれど、本作もその仲間に入れてもいいくらい情けない主人公だ。そしてそこが愛おしい。 いつも似た構図のドラマばかりなのに、飽きがこないのは、台詞のないポーカーフェイスな人物の魅力と、絶妙なユーモア感覚か。 フィンランドの北の果て、ラップランド。炭鉱の閉山で失業したカスリネン(パヤラ)は父の遺品である真白なキャデラックで南を目指す。 ヘルシンキに向かう途中、強盗に有り金全部を奪われ、日雇い労働者となった彼だが、イルメリ(ハーヴィスト)という女と知り合い恋に落ちる。彼女には一人息子がいた。 その後、冤罪で刑務所に入れられ、脱獄し、銀行強盗で荒稼ぎ・・・国外脱出を企てるのだが―――。 タイトルとなった原題の「ARIEL」は、ラストで国外へ逃亡するためのメキシコ行の船の名前。 天使の名前をイメージさせて、ハッピーエンドらしいラストを彩る。 ちなみに、いつも私のなかに湧き起こる感情を見事に表現した一言を某所でみつけたのでちょっとお借りすると、、。 「カウリスマキ作品を観ると、身の回りの不要なものを捨てたくなる。デカダンな生活をしたくなる」 そうだ、これだ!! ごちゃごちゃ混沌もいいけれど、閑寂な侘び寂的カウリスマキ作品にはいやおうなく惹かれてしまう魅力がある。 なんにもいらない、生きているだけでいい。そんな素朴な力が、脱力感たっぷりなのに確かに届くのだからすごい。 こちらも『死ぬまでに観たい映画1001本』に選ばれています。 監督・製作・脚本/ アキ・カウリスマキ 撮影/ ティモ・サルミネン 音楽/ ヨウコ・ルッメ 出演/ トゥロ・パヤラ スサンナ・ハーヴィスト マッティ・ペロンパー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.09.14 21:22:48
コメント(0) | コメントを書く
[フィンランド映画] カテゴリの最新記事
|